職権調査の結果、上告人法人の代表者に当該法人を代表する権限がないことが判明し、右代表者の提起した上告が不適法として却下された事例
判旨
招集権限のない者によって招集された評議員会及び理事会は法律上不存在であり、そこでなされた役員選任等の決議も効力を有しない。そのため、当該決議に基づき選任された代表者自称者による訴訟行為は、代表権を欠く不適法なものとして却下される。
問題の所在(論点)
招集権限のない者によって招集された会議体(評議員会・理事会)の決議の効力、及び、当該決議により選任された代表者による訴訟行為の適法性が問題となる。
規範
法人の寄附行為において招集権者が定められている場合、招集権限のない者によって招集された評議員会及び理事会は、特段の事情のない限り、法律上不存在というべきであり、その決議も当然に効力を有しない。
重要事実
上告人法人の寄附行為では、理事長が理事会及び評議員会を招集する旨が定められていた。当時の真正な理事長はEであったが、E以外の者によって招集された評議員会にてEの解任が決議され、同日、理事長を自称するDを選任する理事会が開催された。Dは、この決議に基づき上告人法人の代表者として本件上告を提起した。
あてはめ
本件では、理事長Eが招集権者であるにもかかわらず、本件評議員会及び理事会はいずれもEによって招集されたものではない。また、他にこれらが適法に開催されたと認めるべき特段の事情も存しない。したがって、これらの会議体は法律上不存在であり、Dを理事長に選任した決議も無効である。同法人の寄附行為によれば理事長のみが代表権を有するとされているところ、Dは適法な理事長の地位にないため、代表権を有しない。
結論
事件番号: 昭和44(オ)719 / 裁判年月日: 昭和47年11月9日 / 結論: 棄却
学校法人の理事会または評議員会の決議が無効であることの確認を求める訴は、現に存する法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のため適切かつ必要と認められる場合には、許容されるものと解すべきである。
Dによる上告提起は、法人を代表すべき権限のない者によってなされた不適法なものであるため、却下を免れない。
実務上の射程
法人の内部意思決定の手続的瑕疵が極めて重大な場合(招集権限の欠如等)に、決議の不存在・無効を認め、ひいては代表権の欠如から訴訟法上の効果(訴えの却下等)を導く際の根拠となる。実務上は、会社法上の総会決議取消・無効等の法理との対比で、一般法人や各種団体における決議の瑕疵の評価基準として活用される。
事件番号: 昭和63(オ)1241 / 裁判年月日: 平成5年3月2日 / 結論: 破棄自判
事業協同組合の定款に「専務理事は理事長が欠員のときはその職務を行う」旨の定めがあるが、同組合の定款によれば、理事長及び専務理事を含む役員の全員につき同時に任期が満了する旨及び任期満了によつて退任した役員は後任の役員が就任するまで役員の職務を行う旨の定めがあるなど判示の事実関係の下においては、右の定款にいう欠員には、理事…
事件番号: 昭和33(オ)600 / 裁判年月日: 昭和34年4月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】財団法人の理事長等の職務権限の不存在確認を求める訴えにおいて、仮に当該役員の選任規定が無効であっても、原告が当然に後任の役員に選任される地位にない限り、確認の利益を認めることはできない。 第1 事案の概要:財団法人D文庫の寄附行為(定款)には、理事長は「設立者累代の家督相続人」が就任する旨の規定が…
事件番号: 昭和44(オ)276 / 裁判年月日: 昭和45年8月20日 / 結論: 破棄自判
取締役会の決議を経ることなく、代表取締役以外の取締役によつて招集された株主総会は法律上の意義における株主総会とはいえず、そこで決議がなされたとしても、株主総会の決議があつたものと解することはできない。
事件番号: 平成16(受)1939 / 裁判年月日: 平成17年11月8日 / 結論: その他
1 宗教法人Yの檀信徒であるXが提起した丙をYの責任役員及び代表役員に選定する檀信徒総会決議の不存在確認の訴えは,Yの規則により檀信徒総会に責任役員及び代表役員を選定する権限が与えられていること,XとYとの間には丙がYの責任役員及び代表役員であることについて上記決議に対する疑義から派生した争いがあることなど判示の事情の…