控訴審において請求の一部が減縮された場合に、残余の部分につき第一審判決を変更する理由がないときは、控訴棄却の判決をすれば足りるものと解すべきである。
控訴審において請求の一部が減縮された場合における控訴判決の主文
民訴法232条,民訴法384条
判旨
控訴審において請求の減縮がなされた場合、減縮部分は初めから係属しなかったものとみなされ、これに伴い第一審判決の当該部分は当然に失効する。この場合、控訴審は残余の部分について第一審判決を変更する理由がなければ、控訴棄却の判決をなせば足りる。
問題の所在(論点)
控訴審において請求が減縮された場合、裁判所は第一審判決を破棄・変更(民事訴訟法305条等参照)することなく、単に控訴を棄却(同302条1項)するのみで足りるか。減縮された部分に係る第一審判決の効力と、控訴審の判決形式が問題となる。
規範
控訴審における請求の減縮(一部取下げ)があった場合、減縮された部分については訴えが初めから係属しなかったものとみなし、当該部分に関する第一審判決は当然にその効力を失う。したがって、控訴審の審判対象は減縮後の残余の部分に限定され、その部分について第一審判決を変更する理由がないときは、第一審判決主文を維持する「控訴棄却」の判決を下せば足りる。
重要事実
上告人(一審被告)らに対し、亡Dの所有に属する建物等に関する請求がなされた事案において、第一審判決後、控訴審において請求の減縮(訴えの一部取下げ)が行われた。その後、原審(控訴審)は減縮後の残余の請求について第一審判決を維持し、控訴棄却の判決を言い渡した。これに対し、上告人らは第一審判決を変更せず控訴棄却とした点に違法があると主張して上告した。
あてはめ
本件では、控訴審において請求が減縮されている。この場合、減縮された部分は遡及的に訴訟係属を失い(訴えの取下げの擬制)、対応する第一審判決も当然に失効するため、控訴審が重ねて当該部分を取り消す必要はない。原審が認定した「仮設増築部分に相当する建物」が亡Dの所有に属するという事実認定に基づき、残余の請求について第一審判決に誤りがないと判断される以上、残余の部分に対する控訴を棄却した原審の判断に違法はない。
結論
控訴審で請求が減縮された場合、減縮部分は当然に失効するため、残余の請求につき第一審判決を維持する際は、控訴棄却の判決をすれば足りる。
実務上の射程
訴えの減縮(一部取下げ)があった場合の判決主文の書き方に関する実務指針である。控訴審で請求が一部縮減された際、第一審判決が全部認容であっても、残余の部分について不服がないのであれば「第一審判決を変更する」という主文を書く必要はなく、「本件控訴を棄却する」とのみ判示すればよいことを示している。
事件番号: 昭和34(オ)530 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
下宿業の用に供する建物は、地代家賃統制令第二三条第二項第七号の建物に該当する。