控訴審において訴の一部につき同意ある取下がなされた場合に、残余の請求につき控訴棄却の判決がなされたときには、右残余の請求のみにつき第一審判決を維持したものと解すべきである。(昭和二四年一一月八日第三小法廷判決参照)
控訴審において訴の一部取下がなされた場合に残余の請求につき控訴棄却の判決がなされたときの効果
民訴法232条1項,民訴法384条1項
判旨
控訴審において請求の一部が取り下げられ、相手方がこれに同意した場合には、訴訟は当該部分について終了する。そのため、控訴審判決が控訴棄却を言い渡したときは、残余の請求部分のみについて第一審判決を維持したことになる。
問題の所在(論点)
控訴審で請求の一部取下げと同意があった場合において、判決主文で控訴棄却が言い渡された際、第一審判決のどの範囲が維持されたといえるか。一部取下げ後の審判対象の確定が問題となる。
規範
控訴審の口頭弁論において請求の一部取下げおよびこれに対する同意がなされた場合、当該取り下げられた部分は訴訟係属を失い、裁判所の審判対象から除外される。この場合、控訴審判決が「控訴棄却」を主文で言い渡したとしても、その効果は取下げ後に残存した請求部分についてのみ第一審判決を維持したものと解すべきである。
重要事実
第一審で複数の請求がなされ、敗訴した側が控訴した事案において、控訴審(原審)の第二回口頭弁論中に、被控訴代理人が金員支払を求める請求の一部を取り下げた。これに対し、控訴代理人が当該取下げに同意した。その後、控訴審裁判所は、残余の請求について審理を行い、控訴を理由がないと認めて「本件控訴を棄却する」旨の判決を言い渡した。
あてはめ
記録によれば、原審の口頭弁論において金員支払請求の取下げとこれに対する同意が明確になされている。この時点で、金員支払請求部分は訴訟から離脱し、審判対象は残余の請求に限定された。原判決がその残余の請求についてのみ審理し、控訴を理由がないとして棄却の判示をした以上、その主文の効果が及ぶのは残存する請求部分に限られる。したがって、原判決が第一審判決のうち、取下げにかかる部分を除いた残余の請求のみを維持したことは明らかである。
結論
控訴審での一部取下げにより、判決の効力は取下げ後の残余の請求部分にのみ及び、控訴棄却判決によって当該部分の第一審判決が維持される。
実務上の射程
訴えの取下げ(民訴法261条)による審判対象の縮小が、判決主文の解釈にどのように影響するかを示す。実務上、控訴審で請求が減縮された場合、控訴棄却判決は「減縮後の請求」についての第一審判断を維持するものであることを確認する際に活用できる。
事件番号: 昭和29(オ)861 / 裁判年月日: 昭和31年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において請求の減縮(一部取下げ)がなされた場合、当該部分は初めから係属しなかったものとみなされ、一審判決の当該部分は当然に失効する。したがって、控訴審は残余の部分についてのみ審理し、一審判決を維持する場合には控訴を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、第一審において家屋明…