一 附帯控訴の取下をなすについては、相手方の同意を要しない。 二 附帯控訴の取下を書面でする場合は、その書面を裁判所に提出することによりその効力を生ずる。
一 附帯控訴取下の方式 二 附帯控訴取下の効力の発生時期
民訴法363条,民訴法372条
判旨
控訴の取下げは、相手方の同意を要せず、取下書の提出によって効力を生じ、相手方への送達は効力発生の要件ではない。
問題の所在(論点)
控訴(または附帯控訴)の取下げにおいて、相手方の同意および取下書の送達が効力発生の要件となるか。
規範
控訴の取下げについては、訴えの取下げにおける相手方の同意に関する規定(旧民訴法236条2項、現行261条2項)が準用されないため、相手方の同意を要しない。また、取下げを書面で行う場合、その書面を裁判所に提出した時点で効力を生じ、相手方への送達(旧民訴法236条4項、現行261条4項)は、相手方に事実を通知し対処の機会を与える便宜的な趣旨にすぎず、効力発生要件ではないと解する。
重要事実
被上告人(一審原告)は、第一審で敗訴した部分について附帯控訴を申し立てた。その後、被上告人は附帯控訴取下書を原審(控訴審)裁判所に提出した。これに対し上告人(一審被告)側は、当該取下書が相手方に送達されていないこと等を理由に、取下げの効力を争い上告した。
あてはめ
本件において、被上告人は附帯控訴の取下書を裁判所に提出している。控訴の取下げは、訴えの取下げと異なり、既に第一審判決が存在することから相手方の同意を必要としない。また、法が取下書の送達を規定しているのは、相手方の防御上の便宜を図るための手続的規定にすぎない。したがって、裁判所への提出がなされた以上、相手方への送達を待たずに取下げの効力が発生したといえる。
結論
附帯控訴の取下げは有効であり、相手方への送達がないことをもってその効力を否定することはできない。
実務上の射程
控訴取下げの法的性質および効力発生時期に関するリーディングケースである。答案上は、控訴審の終了事由を論じる際や、附帯控訴が主たる控訴の取下げ等によって失効する場面(民訴法285条)などの前提として、取下げの自由度と迅速性を説明する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)579 / 裁判年月日: 昭和37年1月26日 / 結論: 棄却
控訴審において訴の一部につき同意ある取下がなされた場合に、残余の請求につき控訴棄却の判決がなされたときには、右残余の請求のみにつき第一審判決を維持したものと解すべきである。(昭和二四年一一月八日第三小法廷判決参照)