家屋の明渡を請求された者が、占有の正権原を立証するため、一旦相手方から交付を受けたが現に相手方が所持していると主張して資料領収証の提出命令を申し立てたときは、裁判所は該申立の許否につき裁判をしなければならない。
賃料領収証の提出命令の申立とその許否の裁判
民訴法312条,民訴法314条
判旨
文書提出命令の申立てに対し裁判所が何ら決定をしないことは違法であるが、その文書が判決の基礎となる事実認定に影響しない場合には、当該違法は判決の結果に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
文書提出命令の申立てに対し、裁判所が何ら決定を行わなかった場合の手続的違法性と、それが判決の結果に及ぼす影響が問題となる。
規範
裁判所は、文書提出命令の申立てがあった場合にはこれに対する諾否の決定をすべきであり、何ら決定をしないことは手続上違法である。もっとも、当該文書の証明対象となる事実が、他の認定事実によって既に訴訟の結論に影響しないものとなっている場合には、その違法は判決の結果に影響を及ぼさないものと解する。
重要事実
上告人は、昭和21年1月から9月分の賃料領収証について文書提出命令を求めたが、原審はこれに対して何ら決定を行わなかった。一方で、原審は当該賃貸借契約が昭和23年11月末限りで合意解除により消滅したと認定していた。
あてはめ
本件で提出を求めた領収証は過去の賃料支払を証明するものである。しかし、原審は既に賃貸借契約が昭和23年に合意解除されたと判断しており、過去の賃料支払の有無を確認するまでもなく契約の消滅という結論は揺るがない。したがって、決定を怠った違法はあるものの、判決の結論を左右するものではないといえる。
結論
文書提出命令の申立てを放置した原審の訴訟手続には違法があるが、判決の結果に影響を及ぼさないため、上告を棄却すべきである。
実務上の射程
裁判所による中間決定の懈怠が、直ちに上告理由(民訴法312条等)となるわけではなく、当該証拠が争点に対する判断に実質的な影響を与えるか否かで決せられるという実務上の判断基準を示している。
事件番号: 昭和30(オ)119 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、原判決に法令の違背が認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:判決文からは不明(事案の具体的な事実関係については一切言及がない)。 第2 問題の所在(論点):原判決に判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背(民事訴訟法401条関連)があるか否か。 第3 規範:判…