遺留分権利者の行使する減殺請求権は形成権である。
遺留分権利者の行使する減殺請求権の性質
民法1031条
判旨
遺留分減殺請求権(現行法の遺留分侵害額請求権に相当)は形成権であり、受遺者に対する意思表示によって直ちに法的効力が生じ、必ずしも裁判上の請求を要しない。
問題の所在(論点)
遺留分減殺請求権(民法旧1031条、現1046条参照)の法的性質は何か。また、その行使にあたり裁判上の請求が必要か。
規範
遺留分減殺請求権は形成権である。したがって、権利者が受遺者に対して減殺の意思表示を行えば、法律上当然に減殺の効力が生じる。また、その行使にあたっては、必ずしも裁判上の請求によることを要しない。
重要事実
遺留分権利者が受遺者に対して遺留分減殺の意思表示を行った。本件では、この意思表示のみによって減殺の効力が発生するか、あるいは裁判上の請求が必要か、およびその権利の性質が争点となった。なお、具体的な相続関係や遺贈の内容等の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
遺留分減殺請求権は、権利者の一方的な意思表示によって法律関係を変動させる形成権と解される。本件において、遺留分権利者が受遺者に対して減殺の意思表示を行った事実は、形成権の行使として十分である。裁判外での意思表示であっても、それが相手方に到達した時点で、法律上当然に減殺の効力が発生したと評価される。
事件番号: 昭和40(オ)1084 / 裁判年月日: 昭和41年7月14日 / 結論: 棄却
遺留分権利者の減殺請求権は形成権であると解すべきである。
結論
遺留分減殺請求権は形成権であり、裁判外の意思表示のみによって当然にその効力が生じる。したがって、上告人の主張は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
本判決は旧法の遺留分減殺請求に関するものであるが、権利の行使方法(裁判外の意思表示で足りる点)や期間制限(除斥期間・時効)の起算点を考える上での基礎となる。現行法の遺留分侵害額請求権(民法1046条)においても、金銭債権を発生させる形成権としての性質は維持されており、実務上、内容証明郵便等による意思表示で権利行使を確定させる手法の根拠となっている。
事件番号: 昭和52(オ)1144 / 裁判年月日: 昭和55年2月7日 / 結論: 破棄差戻
原告らが、係争不動産は原告らの被相続人乙が甲から買い受け乙の死亡によつて原告らが共同相続したものであると主張して、右不動産の所有名義人である被告に対し、共有持分権に基づき各持分に応ずる所有権移転登記手続を求め、これに対し被告が、右不動産は被告の夫丙が甲から買い受けたものであり丙の死亡によつて被告がそれを相続取得したもの…
事件番号: 平成9(オ)685 / 裁判年月日: 平成10年6月11日 / 結論: 破棄差戻
一 被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合において、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれていると解すべきである。 二 遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差…