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土地と米一斗および金四〇〇〇円とをもつてする売買および交換の混合契約が食糧管理法に違背する違法があつてもこれを理由として契約の無効を主張することが信義誠実の原則に反し許されないとされた事例
民法1条
判旨
食糧管理法に違反する土地の混合契約において、契約の一方当事者が当該違法を理由に無効を主張することは、信義誠実の原則に照らして許されない。
問題の所在(論点)
強行法規(食糧管理法)に違反する契約の当事者が、自らその違法を理由として無効を主張することが、信義則(民法1条2項)により制限されるか。
規範
公法上の取締法規に違反する私法上の契約であっても、当該規定が直ちに私法上の効力を否定する性質のものではない場合、または当該違反を理由とする無効主張が著しく正義に反すると認められる場合には、信義誠実の原則(民法1条2項)に基づき、無効の主張は制限される。
重要事実
上告人は、本件(1)および(4)の土地に関し、食糧管理法に違反する態様で混合契約を締結した。その後、上告人は当該契約が同法に違反し違法であることを理由として、契約の無効を主張した。これに対し、原審は当該無効主張が信義則に反すると判断し、上告人が上告した事案である。
事件番号: 昭和39(オ)444 / 裁判年月日: 昭和42年1月26日 / 結論: 棄却
農地に関する紛争が宅地建物調停事件として処理された場合でも、そのことから直ちに、成立した調停をもつて当然無効のものということはできない。
あてはめ
本件における土地の混合契約には食糧管理法違背の違法が認められる。しかし、原審が適法に確定した事実関係によれば、契約締結に至る経緯や当事者間の関係に照らし、自ら契約を締結した上告人が後になってその違法性を理由に無効を主張し、契約の拘束力から逃れようとすることは、相手方の信頼を裏切るものであり、信義誠実の原則に反すると解される。
結論
上告人による無効主張は信義則に反し許されないため、本件契約の効力は否定されず、上告を棄却する。
実務上の射程
強行規定違反の契約に関する無効主張の制限。単に法に触れるだけでなく、無効を認めることが社会的妥当性を欠き、当事者間の公平を著しく害する場合に、信義則を適用して契約の有効性を維持する理論構成として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)406 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
証人らが訴訟当事者の一方の妻あるいは妻の兄の関係にあるとしても、その一事によつて右証人らが証人能力を有しないとか、証言の証拠価値が薄弱であるとかは断定できない。
事件番号: 昭和32(オ)471 / 裁判年月日: 昭和36年3月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】信義則(民法1条2項)および禁反言の法理の適用について、原判決の認定した事実関係に照らせば、その主張を排斥した判断は正当である。具体的判決文からは詳細な事実や法的構成は示されていないが、信義則違反の成否は確定した事実関係に基づき判断される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の認定した事実関係が信…
事件番号: 昭和39(オ)561 / 裁判年月日: 昭和40年2月5日 / 結論: 破棄差戻
甲乙間の売買契約の成立を推認させる書証(乙を宛名人とする甲名義の売買代金領収証)を、乙が甲の代理人として丙と売買契約を締結した旨の事実認定の資料に供した判決は、該書証の意味を別異に解すべき特段の事情がないかぎり、採証法則に違背する。
事件番号: 昭和33(オ)596 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政上の許可を要する契約が許可を得ないまま合意解除され、その後に法的規制が撤廃された場合、改めて締結された新契約の効力は、旧契約時の不許可に影響されることなく有効である。 第1 事案の概要:上告人A1と被上告人は、昭和25年5月に土地建物の売買契約を締結したが、当時は外国政府の権利取得に外資委員会…