農地に関する紛争が宅地建物調停事件として処理された場合でも、そのことから直ちに、成立した調停をもつて当然無効のものということはできない。
農地に関する紛争を宅地建物調停事件として処理した場合と成立した調停の効力
民事調停法16条,民事調停法25条
判旨
農地に関する紛争を民事調停法上の農事調停ではなく宅地建物調停として処理した場合であっても、調停の内容が農地法等の強行法規に違反しない限り、その調停を当然に無効とすることはできない。
問題の所在(論点)
農地に関する紛争について、民事調停法が定める農事調停の手続を経ずに宅地建物調停として処理され、調停が成立した場合、その手続的瑕疵によって当該調停は当然に無効となるか。
規範
民事調停法上の手続的分別に齟齬があったとしても、当事者の合意によって成立した調停の内容が農地法その他の強行法規に違反しないものである限り、手続の過誤のみをもって当該調停を当然無効と解すべきではない。
重要事実
本件の係争地は現況が農地であった。しかし、第一審裁判所はこの紛争を民事調停法に定める宅地建物調停として処理し、農事調停に関する手続を履践しなかった。この調停の過程で当事者間に合意が成立したが、上告人は、農地に関する紛争を宅地建物調停として処理した点に法令解釈の誤りがあるとして、調停の無効を主張した。
事件番号: 昭和39(オ)964 / 裁判年月日: 昭和40年10月8日 / 結論: 棄却
不動産の売主が、代金の一部の清算について、買主との間で、売主はその兄が買主に対して負担する借受金債務を引き受け、これと代金債務とを対当額で相殺する旨特約した場合において、当該売買契約は右借受金債務の弁済をも目的として締結されたものであるのに、買主は該債務の債権者ではない等同契約に関し原審の確定したような事情(原判決理由…
あてはめ
本件において、係争地が農地である事実に争いはない。しかし、成立した調停条項の内容を検討すると、農地法その他の強行法規に違反する事由は認められない。民事調停法所定の農事調停手続を履践していないという形式的な手続の不備があるとしても、実体法上の強行規定に反しない合意が当事者間で成立している以上、その有効性を否定する根拠にはならないと評価される。
結論
本件調停は有効である。手続上の分類に誤りがあっても、内容が強行法規に違反しない限り、調停の効力は妨げられない。
実務上の射程
調停手続における種類選択の誤り(手続違背)が、成立した調停の私法上の効力や執行力にどのような影響を及ぼすかという文脈で活用できる。手続的正義よりも当事者の合意による解決と実体法(強行法規)への適合性を重視する判断枠組みとして位置づけられる。
事件番号: 昭和34(オ)642 / 裁判年月日: 昭和35年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の許可を停止条件とする農地の売買契約において、地目が畑であり実態が農地であると認められる場合には、その性質に基づき適法な事実認定がなされるべきである。 第1 事案の概要:被上告人らは、上告人から本件土地を北海道知事の許可を停止条件として買い受けた。本件土地の地目は「畑」であり、原審において…
事件番号: 昭和35(オ)604 / 裁判年月日: 昭和38年4月2日 / 結論: 棄却
一、自作農創設特別措置法により政府より売渡を受けた農地でも知事の許可または農地委員会の承認があれば、その所有権を他に移転できる。 ニ、昭和二六年一月二五日に締結された農地売買契約につき、所有権移転の時期を昭和三一年一月二四日とし売買代金額も実際と異つた額が許可申請書に記載されていたとしても、原判示のもとでは、右に対する…
事件番号: 昭和38(オ)1044 / 裁判年月日: 昭和39年6月9日 / 結論: 棄却
農地につき知事の許可なくして為された売買契約でも、その後該農地が適法に宅地化されたときは、そのときから当然効力を生ずると解すべきである。