地方自治法第二六〇条の規定は、「字」の区域を新たに画し、または確定している「字」の境界を変更する場合等につき定めた規定であつて、「字」の境界自体が争われている場合には、適用されない。
地方自治法第二六〇条は「字」の境界に争いのあるときにも適用されるか
地方自治法260条
判旨
地方自治法260条は「字」の区域を新設・変更する場合の規定であり、既存の「字」の境界自体が争われている場合には適用されない。したがって、裁判所が証拠に基づいて字の境界を確定することは同条に違反しない。
問題の所在(論点)
既存の「字」の境界自体が争われている場合において、裁判所が証拠に基づき境界を確定することは、地方自治法260条(字の区域の新設・変更手続)に違反するか。
規範
地方自治法260条の規定は、「字」の区域を新たに画定し、または既に確定している「字」の境界を変更する場合等について定めた行政上の手続規定である。したがって、客観的に存在するはずの「字」の境界そのものが不明であり、その存否や位置が争われている事案において、司法判断により境界を特定する場合には適用のない規定である。
重要事実
本件では係争地の境界(字の境界)について争いがあり、原審は別紙図面のコンクリート標柱を基点(イ)とし、鑑定人の鑑定結果等に基づき境界を確定した。これに対し、上告人は「字」の境界変更等は地方自治法260条所定の手続によるべきであり、裁判所がこれを認定することは同法に違反し、かつ主文が不明確である等と主張して上告した。
あてはめ
本件で問題となっているのは、新たに字の区域を設けたり、既決の境界を変更したりすることではなく、当初から存在する「字」の境界がどこにあるかを証拠によって確認する作業である。原審は鑑定結果等の証拠に基づき、基点(イ)を確定した上で境界を特定しており、これは事実認定の問題であって、行政手続を定めた地方自治法260条の問題ではない。したがって、同条違反の主張は本件の前提を誤るものである。
結論
地方自治法260条は字の境界が争われている場合には適用されず、裁判所による境界確定は適法である。
実務上の射程
行政上の区画である「字」の境界が私法上の土地の境界と一致する場合等において、境界確定訴訟や所有権確認の前提として字の境界を確定する際、地方自治法上の手続を経る必要がないことを明示したものとして活用できる。
事件番号: 昭和42(オ)718 / 裁判年月日: 昭和43年2月22日 / 結論: 棄却
一、(省略) 二、取得時効の成否は、境界確定の訴における境界確定とは関係がない。
事件番号: 昭和37(オ)490 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
境界確定の訴における請求は、不明な境界を確定することを求める点にあり、いずれの線が本来の境界であるかに関する当事者の主張は、ただ事実上の申述の一部にすぎない。
事件番号: 昭和33(オ)376 / 裁判年月日: 昭和35年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約書に記載された地番や地積が実際の対象物件と相違している場合であっても、当事者間の合意の対象が別の土地であると客観的に認められるときは、証拠に基づき契約対象を真実の物件へと確定することができる。 第1 事案の概要:被上告人らは、所有するa番山林(6反6畝20歩)を、a番の1とa番の2に分筆し…