いずれも薬剤等を指定商品とした「リユーマゾロン」なる商標と「ロイマゾン」なる商標とは観念において類似するものと認むべきである。
観念において類似すると認められた商標の事例
旧商標法(大正10年法律第99号)2条1項9号,旧商標法(大正10年法律第99号)16条1項1号
判旨
商標の類否は、指定商品の取引者・需要者の視点から、商標の各構成部分が特定の観念を想起させるか等により客観的に判断すべきである。造語からなる商標であっても、その特徴的部分から特定の観念が生じる場合には、観念の共通性により商標の類似性を認めることができる。
問題の所在(論点)
旧商標法(昭和34年法律第127号)下における商標の類否判断において、一連の造語として構成された商標の一部を特徴的部分として抽出し、その部分が生じさせる観念を基準に類否を判断することの是非、およびその判断基準が問題となった。
規範
商標がいかなる観念を生ずるかは、採択者の意図に関わらず、客観的にその指定商品とその取引者・需要者層との関係において判断すべきである。また、一連の不可分的な文字からなる造語商標であっても、その特徴的な部分から特定の観念が生じ得る。称呼が異なる造語であっても、その特徴的部分から感得される観念が共通し、商品の出所の混同をきたすおそれがある場合には、類似商標と認められる。
重要事実
本願商標「リユーマゾロン」と引用商標「RHEUMASONロイマゾン」につき、特許庁および原審は、両者の「リユーマ」および「ロイマ」の部分を象徴的・特徴的部分と認定した。当該部分は周知の疾患「リユーマチ(ス)」等を連想させるものであり、末尾の「ゾロン」や「ゾン」は薬剤名において語調を整えるために付加される一般的語彙にすぎない。これに対し上告人は、両者は一連の不可分な造語であり称呼が異なる以上、観念も相違すると主張して争った。
事件番号: 昭和42(行ツ)9 / 裁判年月日: 昭和46年1月26日 / 結論: 棄却
一、「松魚つぶ」の文字を縦書し、「松魚」の文字の右側に「カツヲ」の文字を振仮名して成る商標(指定商品、旧四三類飴菓子)および「土佐自慢」の文字の下方にこれよりやや大きく「初鰹」の文字をいずれも通常の書体で縦書して成る商標(指定商品、旧四三類菓子及び麺麭の類)がある場合において、右両商標から共通して抽出される「かつを」の…
あてはめ
本件の両商標の末尾(ゾロン、ゾン)は薬剤名に汎用される付加語で格別の意味を持たない。一方で「リユーマ」や「ロイマ」を主部とする用語は「リユーマチス」等以外にほとんど存在せず、当該疾患にちなんで採択されたと推認できる。指定商品の需要者である医師、薬剤師、患者等の視点に立てば、当該主部からリユーマチス等の治療剤であるとの観念を直感するものといえる。したがって、両商標は造語として称呼が異なっても、その特徴的部分から生じる観念が共通しており、出所の混同を招くおそれがある。
結論
本願商標と引用商標は、観念において共通し、商品出所の混同を来すおそれがあるため、類似商標にあたる。原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
結合商標や造語商標の類否判断において、需要者の認識を基準に「要部」を抽出し、観念の類似性を肯定する手法(要部観察)の端緒となる判断である。特定の業界(本件では医薬品)における語尾の慣用性や、主部の暗示的意味を考慮する実務上重要な指針となる。
事件番号: 昭和42(行ツ)32 / 裁判年月日: 昭和43年2月9日 / 結論: 棄却
一、商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品に付されて使用されていることは必要ではないが、その商品との具体的関係において使用されていなければならない。 二、青星の文字を極端に変更、図案化した「(商標は末尾添付)」なる登録商標がその特殊形態または少なくとも取引上これと同視されるべき形態において使用され…
事件番号: 昭和39(行ツ)110 / 裁判年月日: 昭和43年2月27日 / 結論: 棄却
糸一般を指定商品とし「しようざん」の称呼をもつ商標と硝子繊維糸のみを指定商品とし「ひようざん」の称呼をもつ商標とでは、右両商標が外観および観念において著しく異なり、かつ、硝子繊維糸の取引では、商標の称呼のみによつて商標を識別しひいて商品の出所を知り品質を認識するようなことがほとんど行なわれないのが実情であるときは、両者…
事件番号: 昭和39(行ツ)54 / 裁判年月日: 昭和43年11月15日 / 結論: 破棄自判
登録出願にかかる商標の指定商品が、旧商標法施行規則(大正一〇年農商務省令第三六号)所定の類別のうち、引用商標の指定商品をとくに除外したものであり、また、前者の指定商品が後者の指定商品とは品質・形状・用途等を異にする商品を含むものであるとしても、両者の指定商品は、必ずしもつねにその製造元・発売元を異にするものとはいえず、…