一、商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品に付されて使用されていることは必要ではないが、その商品との具体的関係において使用されていなければならない。 二、青星の文字を極端に変更、図案化した「(商標は末尾添付)」なる登録商標がその特殊形態または少なくとも取引上これと同視されるべき形態において使用されなかつた以上、たとえ「青星」、「アオボシ」、「BLUESTAR」青い星の図形等の標章が右登録商標の指定商品であるソース等に使用されており、また、これらの標章が右登録商標と類似であるとしても、そのことによつて、右登録商標そのものの使用があつたということはできない。
一、商標使用の要件 二、商標が使用されなかつたと認められた事例
旧商標法(大正10年法律第99号)14条
判旨
商標の使用があるというためには、当該商標が単に書類等に記載されているだけでなく、指定商品との具体的関係において使用されていることを要する。また、不使用取消審判における商標の使用は、登録商標と同一の形態、または取引上これと同視し得る形態での使用を基準として判断すべきである。
問題の所在(論点)
1. 会社の便箋や封筒に商標を表示することが、指定商品との関係で「商標の使用」にあたるか。 2. 登録商標と外観が異なるが、称呼や観念を共通にする類似商標の使用をもって、登録商標の使用と認めることができるか。
規範
1. 商標の使用(商標法2条3項各号参照)に該当するためには、商標が指定商品そのものに付されている必要はないが、その商品との具体的関係において使用されていることを要する。 2. 不使用取消審判(旧商標法22条、現行法50条)において、登録商標の使用があったといえるためには、商標の称呼や観念が共通するだけでなく、登録された特殊な形態そのもの、または少なくとも取引上これと同視し得る形態において使用されていることを要する。
重要事実
事件番号: 昭和41(行ツ)36 / 裁判年月日: 昭和43年12月13日 / 結論: 棄却
いずれも薬剤等を指定商品とした「リユーマゾロン」なる商標と「ロイマゾン」なる商標とは観念において類似するものと認むべきである。
上告人は「ソース」等を指定商品とし、文字を極端に図案化した「青星」という登録商標(本件商標)を有していた。被上告人が不使用取消の審判を請求したところ、特許庁は取り消すべきものとしたため、上告人がその取消しを求めて提訴した。上告人は、社用の便箋や封筒に本件商標を付していたことや、本件商標から生じる称呼・観念と共通する類似の商標を使用していたことを根拠に、使用の事実を主張した。
あてはめ
1. 本件の便箋は取締役会招集や株主総会の通知に使用されたにすぎず、封筒は未使用であった。これらは指定商品である「ソース」等の取引との具体的関係において使用されたとは認められない。 2. 本件商標は文字を極端に図案化した特殊な形態に顕著な特徴がある。上告人が使用した商標は、本件商標と称呼や観念において共通する可能性はあるものの、その特殊な外観形態を具備しておらず、取引上同視できる形態での使用とも認められない。また、当該使用商標は連合商標(現行法の関連商標制度に相当)として登録されたものでもない。
結論
上告人が昭和28年以降本件商標を継続して3年以上使用した事実は認められず、不使用取消を認めた原審の判断は正当である。上告棄却。
実務上の射程
商標法50条の不使用取消審判における「登録商標の使用」の意義を画した重要判例である。答案上は、①「指定商品との具体的関係」という目的論的な使用の定義、②「社会通念上同一(同視し得る形態)」という外観重視の判断基準を示す際に引用する。特に文字商標を図案化して登録した場合、単にその文字を標準文字で用いるだけでは「使用」と認められないリスクがあることを示す好例となる。
事件番号: 昭和42(行ツ)5 / 裁判年月日: 昭和44年12月5日 / 結論: 棄却
「D」の漢字を縦書きして成り、旧々類別五〇類の紙その他本類に属する商品を指定商品とするYの引用商標がある場合において、Yがその前身時代を含めて昭和一〇年前後から京花紙一号につき右商標を使用して来たとはいえ、要するに、併存する他の不特定多数の「D」商標使用者の単なる一員としてこれを使用したにすぎず、取引者、需要者からとく…
事件番号: 昭和40(行ツ)22 / 裁判年月日: 昭和43年4月9日 / 結論: 棄却
片仮名で「ジム」と横書きされて成り「事務用機械器具」を指定商品とする商標は、右指定商品の用途を表示するものとは認めがたく、商標法第三条第一項第三号に該当しない。
事件番号: 昭和30(オ)433 / 裁判年月日: 昭和32年3月5日 / 結論: 棄却
商標登録出願者が指定した商品について出願商標が特別顕著性を認められない場合は、指定商品のうち一部について永年使用による特別顕著性が認められても、登録を拒絶することは違法でない。
事件番号: 昭和29(オ)791 / 裁判年月日: 昭和31年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】引用商標が長期間使用されていない場合であっても、適法な手続によって登録が取り消されていない限り、当該商標と類似する商標の登録を拒絶する根拠となり得る。商標の類似性判断においては、外観・観念等の要素を総合的に考慮して判断される。 第1 事案の概要:上告人は、自らの出願商標が登録第71103号商標(引…