片仮名で「ジム」と横書きされて成り「事務用機械器具」を指定商品とする商標は、右指定商品の用途を表示するものとは認めがたく、商標法第三条第一項第三号に該当しない。
商標法第三条第一項第三号にいう商品の用途表示に該当しないと認められた商標の事例
商標法3条
判旨
「事務用機械器具」を指定商品とする片仮名書きの商標「ジム」は、その語が多様な意味を有し、直ちに指定商品の用途を連想・認識させるとはいえないため、商標法3条1項3号に該当しない。
問題の所在(論点)
片仮名横書きの「ジム」という標章が、指定商品「事務用機械器具」との関係において、商標法3条1項3号(商品の用途を表示する商標)に該当し、記述的商標として登録が否定されるか。
規範
商標法3条1項3号にいう、商品の用途を「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」とは、当該商標が指定商品に使用された場合に、取引者や需要者によって当該商品の用途等を表示するものとして直感的に認識されるものをいう。その判断にあたっては、指定商品との関係において、当該語句が一般的に有する意味、取引上の慣例、および表示の態様を総合的に考慮すべきである。
重要事実
出願人(上告人)は、指定商品を「事務用機械器具」とし、片仮名の横書きで「ジム」と表示して成る商標を出願した。これに対し、特許庁は、当該商標は指定商品の用途である「事務(用)」を片仮名で表示したものであり、自他商品識別力を欠くとして拒絶査定を下した。原審もこれを支持したため、上告人は「ジム」が事務用機械器具の取引者にとって用途表示として認識されるものであるとして上告した。
事件番号: 昭和42(行ツ)32 / 裁判年月日: 昭和43年2月9日 / 結論: 棄却
一、商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品に付されて使用されていることは必要ではないが、その商品との具体的関係において使用されていなければならない。 二、青星の文字を極端に変更、図案化した「(商標は末尾添付)」なる登録商標がその特殊形態または少なくとも取引上これと同視されるべき形態において使用され…
あてはめ
まず、「ジム」という語は、外国人男性の名(Jim)や体育館(Gymnasium)など多様な意味を有しており、一般世人にとって必ずしも「事務」のみを意味するものではない。次に、広く用いられる「事務」という語を片仮名横書きで表示することは依然として異例である。さらに、指定商品である「事務用機械器具」の取引において、「ジム」という語をその用途や効能の表示として用いる取引上の慣例も認められない。したがって、取引者や需要者が本願商標に接しても、直ちに「事務用」という用途を連想・認識するとはいえず、固有の名称として認識されるのが自然である。
結論
本願商標「ジム」は、指定商品の用途を普通に用いられる方法で表示するものとは認められず、商標法3条1項3号に該当しない。したがって、登録を認めるべきである。
実務上の射程
3条1項3号の該当性を判断する際、文字の表記態様(片仮名か漢字か等)や語の多義性が、需要者の直感的な認識に与える影響を重視している。特に「略称」や「語の一部」が記述的商標に当たるかを論じる際のあてはめの参考になる。
事件番号: 昭和39(行ツ)110 / 裁判年月日: 昭和43年2月27日 / 結論: 棄却
糸一般を指定商品とし「しようざん」の称呼をもつ商標と硝子繊維糸のみを指定商品とし「ひようざん」の称呼をもつ商標とでは、右両商標が外観および観念において著しく異なり、かつ、硝子繊維糸の取引では、商標の称呼のみによつて商標を識別しひいて商品の出所を知り品質を認識するようなことがほとんど行なわれないのが実情であるときは、両者…
事件番号: 昭和30(オ)433 / 裁判年月日: 昭和32年3月5日 / 結論: 棄却
商標登録出願者が指定した商品について出願商標が特別顕著性を認められない場合は、指定商品のうち一部について永年使用による特別顕著性が認められても、登録を拒絶することは違法でない。
事件番号: 昭和24(オ)133 / 裁判年月日: 昭和25年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】商標の類否判断において、外観に相違がある場合であっても、構成部分から生ずる称呼及び観念が共通し、取引の実情に照らして商品の出所について混同を生ずるおそれがあるときは、類似の商標と解される。 第1 事案の概要:本件登録商標(「獅子印」等を含む図形商標。以下「本標章」)に対し、他者の商標(「クロライオ…
事件番号: 昭和41(行ツ)36 / 裁判年月日: 昭和43年12月13日 / 結論: 棄却
いずれも薬剤等を指定商品とした「リユーマゾロン」なる商標と「ロイマゾン」なる商標とは観念において類似するものと認むべきである。