登録出願にかかる商標の指定商品が、旧商標法施行規則(大正一〇年農商務省令第三六号)所定の類別のうち、引用商標の指定商品をとくに除外したものであり、また、前者の指定商品が後者の指定商品とは品質・形状・用途等を異にする商品を含むものであるとしても、両者の指定商品は、必ずしもつねにその製造元・発売元を異にするものとはいえず、これに同一または類似の商標を使用すれば同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれのある場合には、右両者の指定商品は、旧商標法(大正一〇年法律第九九号)第二条第一項第一〇号にいう「類似ノ商品」にあたる。
旧商標法第二条第一項第一〇号にいう「類似ノ商品」の判定
旧商標法(大正10年法律第99号)2条1項10号,旧商標法(大正10年法律第99号)5条,旧商標法施行規則(大正10年農商務省令第36号)15条43類
判旨
商品の品質、形状、用途等が異なる場合であっても、同一または類似の商標を使用した際に、商品の製造・販売主が同一であると取引上誤認混同されるおそれがあるならば、それらの商品は「類似の商品」に該当する。
問題の所在(論点)
旧商標法2条1項10号(現行商標法4条1項11号等に相当)にいう「類似の商品」の判断において、品質や用途の差異、あるいは指定商品の類別上の除外設定がある場合に、どのように商品の類否を判断すべきか。
規範
「類似の商品」にあたるか否かは、商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、同一または類似の商標を使用したときに、同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれ(出所の混同)があるか否かによって判断すべきである。これは、指定商品から特定の除外がなされている場合や、品質・形状・用途を異にする場合であっても同様に妥当する。
重要事実
上告人は「餅」を指定商品とする商標権を有していた。これに対し被上告人は、旧商標法施行規則の類別「菓子及麺麭(パン)ノ類」から「餅」を除外した範囲を指定商品として商標登録を出願した。原審は、本件商標の指定商品が「餅」を除外しており、かつ「餅」とは品質・形状・用途等を異にする商品を含むことを理由に、両者は類似しないと判断したため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
本件において、被上告人の指定商品(菓子・パン類)は、上告人の指定商品である「餅」を明示的に除外したものであり、かつ「餅」とは品質、形状、用途が異なる商品を含んでいる。しかし、商品の性質が異なるとしても、同一または類似の商標が使用された場合に「同一の製造・発売元から出たものである」と消費者が誤認する可能性があるならば、出所の混同が生じる。したがって、単に品質等の物理的属性や類別の記載のみをもって非類似と断ずることはできず、出所の混同のおそれがある以上、両者は類似の商品と解するのが相当である。
結論
本件の指定商品と「餅」は、品質・形状・用途を異にするとしても「類似の商品」に該当する。したがって、原判決には法令違背があり、被上告人の請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
商品の類否判断において、物理的・客観的属性(品質・用途等)の共通性よりも「出所の混同のおそれ」という具体的・実質的な基準を重視する判例である。答案上は、現行法4条1項11号の「類似の商品」の解釈として、周知性や取引実態を踏まえた出所混同の有無を論じる際の規範として引用できる。
事件番号: 昭和37(オ)955 / 裁判年月日: 昭和39年6月16日 / 結論: 棄却
登録出願にかかる商標の指定商品が旧商標法施行規則(大正一〇年農商務省令第三六号)所定の類別のうち引用商標の指定商品を特に除外したものであり、また両商品は互いに品質、形状、用途を異にするものであつても、それに同一または類似の商標を使用すれば同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合には、これら…
事件番号: 昭和42(行ツ)9 / 裁判年月日: 昭和46年1月26日 / 結論: 棄却
一、「松魚つぶ」の文字を縦書し、「松魚」の文字の右側に「カツヲ」の文字を振仮名して成る商標(指定商品、旧四三類飴菓子)および「土佐自慢」の文字の下方にこれよりやや大きく「初鰹」の文字をいずれも通常の書体で縦書して成る商標(指定商品、旧四三類菓子及び麺麭の類)がある場合において、右両商標から共通して抽出される「かつを」の…