中小企業等協同組合法における組合員たる理事が組合を脱退しても、当然に理事資格を喪失するとはかぎらない。
中小企業等協同組合法における組合員たる理事の組合脱退と理事資格喪失の有無
中小企業等共同組合法35条
判旨
中小企業等協同組合において、組合員でない者も理事となり得ることを定めた法35条の規定に基づき、理事が組合を脱退したとしても当然にはその理事の資格を失わない。
問題の所在(論点)
中小企業等協同組合法35条が適用される理事について、組合からの脱退が理事の資格喪失事由となるか。また、法改正前に選任された理事に対しても同条が適用されるか。
規範
中小企業等協同組合法(昭和27年法律第100号による改正後)35条は、組合員でない者も理事となりうる旨を規定している。したがって、理事が組合員の地位を喪失したとしても、法律上当然に理事の資格を失うものではない。
重要事実
上告人は、被上告人組合の理事であったCが、判示の時期に組合を脱退したことにより、理事としての資格も当然に失ったと主張して争った。なお、Cは昭和27年の中小企業等協同組合法改正以前に選任された理事であった。
あてはめ
まず、改正法の施行前に選任された理事であっても、施行後は改正法35条の適用を受ける。同条によれば、組合員資格と役員資格は法的に分離されており、非組合員であっても理事に就任することが認められている。本件において、Cが組合員を脱退した事実は認められるものの、法律上、組合員であることが理事の必須要件とはされていない以上、脱退という事実のみをもって直ちに理事の資格を喪失したとみることはできない。
結論
Cは組合を脱退したからといって、そのことだけで当然に理事の資格を失うものではない。
実務上の射程
会社法上の役員資格(原則として株主であることを要しない)と同様に、特別法上の組合においても組合員資格と役員資格が峻別されていることを確認する事案である。答案上は、役員の欠格事由や資格喪失が問題となる場面で、根拠条文が非組合員(非株主)の就任を許容しているかを確認し、当然喪失を否定する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)454 / 裁判年月日: 昭和36年12月21日 / 結論: 棄却
一 株主総会において株主が二派に分かれ、同一議案について二個の決議をなし、その一個がかしのある決議である場合、かしのない決議が後に成立したものであつても、これを適法のものとすることは差支ない。 二 株式の譲受人の氏名が株主名簿に記載されなくても、会社はこれを株主として取り扱うことを妨げない。
事件番号: 昭和38(オ)940 / 裁判年月日: 昭和41年1月28日 / 結論: 破棄自判
一 中小企業等協同組合が、中小企業等協同組合法第四一条所定の改選手続によることなく、総会または総代会の決議をもつて理事を解任することは、許されない。 二 中小企業等協同組合の理事の罷免については、民法第六五一条は準用されない。
事件番号: 昭和30(オ)198 / 裁判年月日: 昭和32年11月1日 / 結論: 棄却
漁業協同組合の総会で理事に選挙されその後辞任した者につき、過去において理事でなかつたことの確認を求める趣旨の理事選挙無効確認の訴は、確認の訴として許されない。