漁業協同組合の総会で理事に選挙されその後辞任した者につき、過去において理事でなかつたことの確認を求める趣旨の理事選挙無効確認の訴は、確認の訴として許されない。
確認の訴の許されない事例
民訴法225条
判旨
過去の法律関係の存否を対象とする確認の訴えは、特段の事情がない限り、訴えの利益を欠き許されない。選挙が無効であり過去において理事の地位になかったことの確認を求める訴えは、不適法である。
問題の所在(論点)
理事が既に辞任している場合において、過去になされた理事の選挙が無効であったことの確認を求める訴えに、確認の利益(訴えの利益)が認められるか。
規範
確認の訴えは、原則として現在の権利又は法律関係を対象とすべきものであり、過去の法律関係の存否の確認を求めることは、現在の紛争を解決するために有効適切な手段とはいえないため、原則として許されない。
重要事実
上告人は、法人の理事の選挙が無効であったこと(過去において理事が理事ではなかったこと)の確認、及びそれを前提とする理事の就任登記抹消を請求した。しかし、審理の過程で、当該理事らが昭和27年8月15日に既に辞任している事実が認められた。
あてはめ
事件番号: 昭和27(オ)4 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】役員選任決議の無効および役員の地位不存在の確認を求める訴えにおいて、対象となる役員が既に退任し、その後の役員でないことが明白である場合には、確認の利益を欠く。 第1 事案の概要:上告人は、被上告会議所が昭和25年6月28日の議員総会で行った役員選任決議が無効であること、および特定の個人が副会頭の地…
上告人が求めているのは、既に辞任した理事が過去において理事でなかったことの確認である。これは過去の法律関係の不存在を対象とするものであり、現在の法律関係を画定するものではない。仮に上告人が仮理事の地位回復等の利益を有していたとしても、対象が過去の法律関係である以上、確認の訴えとしての適格を欠く。
結論
過去の法律関係の不存在の確認を求める訴えは許されず、不適法として却下されるべきである。また、それを前提とする登記抹消請求も排斥される。
実務上の射程
確認の対象の選択における原則(現在の法律関係)を示す典型例である。実務上、過去の法律関係であっても、それが現在の権利義務の基礎となっており、その存否を確定することが現在の紛争解決に直接かつ有効適切である場合には例外的に認められることがあるが(例:遺言無効確認)、本判決の事案ではそのような必要性が認められなかった点に注意が必要である。
事件番号: 昭和33(オ)709 / 裁判年月日: 昭和36年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】取締役等を選任した株主総会決議の無効確認の訴えにおいて、当該取締役が既に退任し後任者の登記も完了している場合、過去の法律行為の効力を争う前提としての確認利益は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和29年10月の株主総会においてDおよびEを取締役・代表取締役に選任した決議の無効確認を求めた…
事件番号: 昭和38(オ)992 / 裁判年月日: 昭和40年6月29日 / 結論: 棄却
一 新株がすでに発行された後は、新株発行無効の訴を提起しないかぎり、当該新株の発行を無効とするに由なく、新株発行に関する株主総会決議無効確認の訴は、確認の利益がない。 二 株主総会決議無効確認の訴を提起して請求棄却の確定判決を受けた者が、後の株主総会で行なわれた右決議内容再確認の決議に対し、更に無効確認の訴を提起しても…
事件番号: 昭和28(オ)1123 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】株主総会決議に参加した特定の株主の株式取得原因が公序良俗に反し無効であるとしても、それは決議方法の違法に留まり、決議内容の違法には該当しない。 第1 事案の概要:上告人らは、本件株主総会の決議形成過程において、特定の株主が株式を取得した原因が犯罪に関連し、民法90条(公序良俗)に反して無効であると…