区分所有法四七条二項の管理組合法人の規約中、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる旨を定めた条項は、違法でない。
区分所有法四七条二項の管理組合法人の理事会への理事の代理出席を認める規約の定めが違法でないとされた事例
民法55条,建物の区分所有等に関する法律30条,建物の区分所有等に関する法律47条,建物の区分所有等に関する法律49条
判旨
管理組合法人の規約で理事会への代理出席を認める条項は、代理を認めることが理事に対する委任の本旨に背馳しない限り、民法55条に違反せず有効である。特に、理事が事故により出席できない場合に限り配偶者等の親族による代理を認める規定は、理事への信任関係を害さず適法である。
問題の所在(論点)
管理組合法人の理事会における理事の出席および議決権行使の代理を認める規約の規定が、理事の包括委任を禁止する民法55条に違反し、無効となるか。
規範
法人の意思決定のための内部的会議体における出席・議決権行使が代理に親しむかは、当該会議体の設置趣旨、委任された事務内容に照らし、その代理が理事に対する委任の本旨に背馳しないかによって決すべきである。管理組合においては、規約による自治が認められており、代理の可否、要件、被選任者の範囲を定めることも可能である。
重要事実
管理組合法人の規約において、「理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、これを代理出席させることができる」旨の条項(本件条項)が設けられた。これに対し、包括的な代理の委任を禁止する民法55条(区分所有法49条7項により準用)に違反し、無効ではないかが争われた。
事件番号: 昭和41(オ)522 / 裁判年月日: 昭和42年4月20日 / 結論: 棄却
中小企業等協同組合法における組合員たる理事が組合を脱退しても、当然に理事資格を喪失するとはかぎらない。
あてはめ
民法55条は法人の代表権の包括委任を禁ずるものであり、理事会における内部的な議決権行使を直接規制するものではない。本件条項は、代理出席を理事が「事故」により出席できない場合に限定し、かつ被選任者の範囲を「配偶者又は一親等の親族」という密接な関係者に限定している。このような限定的な代理容認は、理事の選任に基づく信任関係を害するものとはいえず、委任の本旨に背馳しないと評価できる。
結論
本件条項は民法55条に違反せず、有効である。したがって、これに基づく代理出席および議決権の行使は適法に認められる。
実務上の射程
本判決は管理組合法人に関するものであるが、その判断枠組みは、理事会等の合議体を持つ他の法人(一般社団法人等)の定款・規約の有効性判断にも射程が及ぶ。代理を認める際は、事由の限定や代理人の範囲の限定などの歯止めがあるかが、信任関係を害さないかどうかの判断において重要となる。
事件番号: 昭和63(オ)1241 / 裁判年月日: 平成5年3月2日 / 結論: 破棄自判
事業協同組合の定款に「専務理事は理事長が欠員のときはその職務を行う」旨の定めがあるが、同組合の定款によれば、理事長及び専務理事を含む役員の全員につき同時に任期が満了する旨及び任期満了によつて退任した役員は後任の役員が就任するまで役員の職務を行う旨の定めがあるなど判示の事実関係の下においては、右の定款にいう欠員には、理事…
事件番号: 昭和52(オ)833 / 裁判年月日: 昭和53年4月14日 / 結論: 棄却
有限会社の社員総会において、その社員である特定の者を取締役に選任すべき決議をする場合に、その特定の者は、右決議につき特別の利害関係を有する者にあたらない。
事件番号: 昭和40(オ)1206 / 裁判年月日: 昭和43年11月1日 / 結論: 棄却
一、商法第一二条は、当事者である株式会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。 二、議決権を行使する株主の代理人の資格を当該会社の株主に制限する旨の定款の規定は、有効である。
事件番号: 昭和62(オ)30 / 裁判年月日: 平成元年9月19日 / 結論: 棄却
一 市町村の助役を取締役に選任する旨の株主総会決議は、当該株式会社が地方自治法一四二条の関係私企業に該当する場合であつても、有効である。 二 商法二七六条の規定により監査役との兼任を禁止されている者を監査役に選任する旨の株主総会決議は、有効である。