有限会社の社員総会において、その社員である特定の者を取締役に選任すべき決議をする場合に、その特定の者は、右決議につき特別の利害関係を有する者にあたらない。
有限会社の社員総会における特定の社員を取締役に選任すべき決議と右特定の社員の特別利害関係
有限会社法41条,商法239条5項
判旨
取締役の選任決議において、選任される特定の社員は「特別の利害関係を有する者」に当たらず、また持分共有における議決権行使者の選定後は、共有者間の個別合意がなくても当該選定者が自己の判断で議決権を行使できる。
問題の所在(論点)
1. 特定の社員を取締役に選任する決議において、当該社員は「特別の利害関係を有する者」として議決権行使を制限されるか。 2. 持分共有の権利行使者が選定・届出されている場合、共有者間の内部的な合意に反する議決権行使は有効か。
規範
1. 会社法140条4項(旧商法239条5項)にいう「特別の利害関係を有する者」とは、当該決議の成立によって他の株主と共通しない個人的利益を得、または不利益を免れる者を指すが、役員の選解任は会社組織の構成に関する事項であり、候補者である株主(社員)であってもこれに含まれない。 2. 株式の共有において権利行使者(同法106条)が定められた場合、共有者間で議決権行使の合意を要する旨の取決めがあっても、対外的には、指定された権利行使者が自己の判断で議決権を行使できる。
重要事実
有限会社において、社員である特定の者を取締役に選任する決議が行われた。この際、選任対象となった社員自らが議決権を行使した。また、持分が複数人の共有に属していた部分について、共有者間で「個別の決議事項ごとに逐一合意を要する」との内部合意があったが、届け出された権利行使者は他の共有者の意見に反して自己の判断で議決権を行使した。これらの議決権行使の効力が争われた。
事件番号: 昭和47(オ)355 / 裁判年月日: 昭和49年6月17日 / 結論: 棄却
有限会社の取締役が、その相互間において新取締役選任の決議の手続に入るまでに辞任すべき旨を申し合わせても、後にその申合せを撤回して辞任の手続をとらないことは許される。
あてはめ
1. 取締役の選任は、会社の機関を構成する適任者を選ぶ行為であり、選任される者が社員である場合でも、その地位は会社との委任関係に基づく公的な性格を有する。したがって、役員の解任決議に関する判例と同様、選任決議においても社員個人の利益を追求するものではなく、特別の利害関係には当たらないと評価される。 2. 持分共有の権利行使者が選定され会社に届け出られた以上、会社に対する関係ではその者が唯一の議決権行使主体となる。共有者間での逐一合意という内部的特約は、対外的な行使権限を拘束するものではなく、権利行使者は自己の判断で適法に議決権を行使し得る。
結論
1. 取締役の選任決議において、候補者である社員は議決権を行使できる。 2. 権利行使者は共有者間の内部合意にかかわらず、単独の判断で有効に議決権を行使できる。
実務上の射程
役員の選任・解任のいずれにおいても、候補者・対象者たる株主の議決権行使が認められることを確定させた。また、共有株式の権利行使者による行使が共有者間の内部紛争によって妨げられないことを示しており、会社の議事進行の安定性を重視する立場を明らかにしている。答案上は、議決権行使の効力を争う場面(決議取消しの訴え等)で活用すべき規範である。
事件番号: 昭和24(オ)347 / 裁判年月日: 昭和25年6月13日 / 結論: 棄却
解任された取締役につきなされた辞任の登記は、取締役たる資格消滅という身分変動については、結局真実に合致しているから、登記としてその効力を有する。
事件番号: 昭和32(オ)846 / 裁判年月日: 昭和35年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】社員総会における定足数の不足は、決議の内容の瑕疵ではなく「決議の方法」に関する瑕疵にすぎない。したがって、当該決議は当然無効とはならず、決議取消しの訴えの対象となるにとどまる。 第1 事案の概要:有限会社の社員総会において、決議が行われた。上告人は、当該決議が法令(有限会社法38条の2)に定める定…
事件番号: 昭和62(オ)30 / 裁判年月日: 平成元年9月19日 / 結論: 棄却
一 市町村の助役を取締役に選任する旨の株主総会決議は、当該株式会社が地方自治法一四二条の関係私企業に該当する場合であつても、有効である。 二 商法二七六条の規定により監査役との兼任を禁止されている者を監査役に選任する旨の株主総会決議は、有効である。
事件番号: 昭和52(オ)1321 / 裁判年月日: 昭和53年7月10日 / 結論: 破棄自判
有限会社の経営の実権を握つていた者が、第三者に対し自己の社員持分全部を相当の代償を受けて譲渡し、会社の経営を事実上右第三者に委ね、その後相当期間を経過しており、しかも右譲渡の当時社員総会を開いて承認を受けることがきわめて容易であつたなど、判示の事実関係のもとにおいて、右譲渡人が右社員持分譲渡を承認する社員総会決議及びこ…