一 市町村の助役を取締役に選任する旨の株主総会決議は、当該株式会社が地方自治法一四二条の関係私企業に該当する場合であつても、有効である。 二 商法二七六条の規定により監査役との兼任を禁止されている者を監査役に選任する旨の株主総会決議は、有効である。
一 地方自治法一四二条の関係私企業に該当する株式会社の株主総会における市町村の助役を取締役に選任する旨の決議の効力 二 商法二七六条の規定により監査役との兼任を禁止されている者を監査役に選任する旨の株主総会決議の効力
商法252条,商法276条,地方自治法142条,地方自治法166条2項,地方自治法166条3項
判旨
地方自治法上の兼業禁止規定に抵触する場合であっても、私法上の役員選任決議の効力は妨げられず、また、会社法上の監査役の兼任禁止規定も選任決議の効力に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
1. 地方自治法142条(助役につき166条2項準用)に抵触する役員選任決議の私法上の効力。 2. 旧商法276条(現行会社法335条2項参照)の監査役兼任禁止規定に違反した選任決議の効力。
規範
1. 地方自治法上の兼業禁止規定(142条等)の趣旨は、公職者を利害関係のある私企業から隔離し職務の公正を確保する点にある。同法は違反に対し、公職の地位を失わせることで目的を達成しようとしており、私法上の選任行為の効力まで否定するものではない。 2. 会社法(旧商法276条)の監査役兼任禁止規定は、監査役の欠格事由を定めたものではない。選任の効力は、決議と就任承諾により発生するが、仮に事実上兼任状態が継続したとしても、それは任務懈怠責任の問題を生じさせるにとどまり、選任決議の効力には影響しない。
重要事実
神戸市の助役Dが、被上告人(株式会社)の取締役に選任された。また、会社の顧問弁護士であるEが監査役に選任された。上告人は、これら地方自治法上の兼業禁止規定および会社法上の監査役兼任禁止規定に違反するとして、役員選任に係る株主総会決議の無効(ないし不存在)を主張して争った。
事件番号: 昭和40(オ)1206 / 裁判年月日: 昭和43年11月1日 / 結論: 棄却
一、商法第一二条は、当事者である株式会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。 二、議決権を行使する株主の代理人の資格を当該会社の株主に制限する旨の定款の規定は、有効である。
あてはめ
1. 地方自治法上の制限について、法は兼業禁止違反に対し「解職」(166条3項)という形で公職の地位を喪失させる仕組みを採っている。これは職務執行の公正確保という行政上の目的を達成するための手段であり、私法上の取締役選任行為自体の効力を奪うまでの趣旨は含まれていないと解される。 2. 監査役の兼任制限について、被選任者が就任承諾までに従前の地位を辞せば規定に抵触しない。また、仮に事実上辞任せず兼任状態が生じたとしても、それは善管注意義務違反や任務懈怠の問題であって、選任を基礎づける株主総会の意思決定(決議)を事後的に無効とする事由には当たらない。
結論
地方自治法や会社法の兼業・兼任禁止規定に抵触する事情があったとしても、役員選任の株主総会決議は有効である。
実務上の射程
役員選任決議の効力を争う場面において、候補者の属性(公務員であることや他役職の兼務)のみを理由に決議取消・無効を主張することの困難さを示す。行政法規違反が私法上の行為の効力に直結しない「取締規定」的性格の判断基準としても参照しうる。
事件番号: 昭和24(オ)347 / 裁判年月日: 昭和25年6月13日 / 結論: 棄却
解任された取締役につきなされた辞任の登記は、取締役たる資格消滅という身分変動については、結局真実に合致しているから、登記としてその効力を有する。
事件番号: 昭和38(オ)992 / 裁判年月日: 昭和40年6月29日 / 結論: 棄却
一 新株がすでに発行された後は、新株発行無効の訴を提起しないかぎり、当該新株の発行を無効とするに由なく、新株発行に関する株主総会決議無効確認の訴は、確認の利益がない。 二 株主総会決議無効確認の訴を提起して請求棄却の確定判決を受けた者が、後の株主総会で行なわれた右決議内容再確認の決議に対し、更に無効確認の訴を提起しても…
事件番号: 昭和28(オ)1123 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】株主総会決議に参加した特定の株主の株式取得原因が公序良俗に反し無効であるとしても、それは決議方法の違法に留まり、決議内容の違法には該当しない。 第1 事案の概要:上告人らは、本件株主総会の決議形成過程において、特定の株主が株式を取得した原因が犯罪に関連し、民法90条(公序良俗)に反して無効であると…
事件番号: 昭和40(オ)821 / 裁判年月日: 昭和42年7月25日 / 結論: 棄却
一 株主総会の決議は、定款に別段の定めがないかぎり、その議案に対する賛成の議決権数が決議に必要な数に達したことが明白になつた時に成立するものと解すべきであつてかならずしも挙手、起立、投票などの採決の手続をとることを要しない。 二 営業の譲渡に関する株主総会の決議について、譲渡会社の株主が譲受会社の代表取締役であつても、…