賃貸借の債務不履行による損害賠償の請求を排斥したことが理由そごにあたるとされた事例
判旨
判決において、一方では特定の目的(建物所有)での土地の貸与を認定しながら、他方でその目的に合致する具体的な建設の承諾を否定することは、理由に矛盾がある。このような判断は「理由そご」として、民事訴訟上の違法を構成する。
問題の所在(論点)
事実認定の過程において、特定の目的(建物所有)での貸与を肯定しながら、その目的に沿った具体的な建物建設の合意を否定する判断が、判決の理由における矛盾(理由そご)に該当するか。
規範
判決の理由中において、主文を導き出すために認定した事実関係の間に論理的な矛盾がある場合、すなわち「理由そご」が認められる場合には、その判決は理由の不備として違法となる。
重要事実
被上告人が上告人に対し、建物の明渡しの引換えとして、上告人の商売道具の置場(建物所有目的)のために宅地約11坪を貸与した。その後、被上告人が土地を第三者に譲渡したため、上告人は土地の使用収益ができなくなったとして損害賠償を求めた。原審は、建物所有目的での貸与を認定しつつ、上告人が主張する住居兼倉庫の建設を承諾した事実は認められないとして上告人の主張を排斥した。
あてはめ
原判決は、被上告人が上告人に対し「建物所有の目的」で本件土地を貸与した事実を認定している。それにもかかわらず、上告人が主張する「住居兼倉庫(建物)の建設」の承諾については証拠がないとしてこれを否定している。建物所有を目的とする賃貸借が成立している以上、その目的に対応する建物の建設が予定されているのは当然であり、一方を認めながら他方を証拠がないとして容易に排斥することは、理由の前後が一致せず論理的に矛盾しているといえる。
結論
原判決には理由そごの違法があるため、破棄を免れない。被上告人が建物所有目的での貸与を認めた事実と建設承諾の成否を再検討させるため、本件を原審に差し戻すべきである。
実務上の射程
民事訴訟法上の「理由の不備・矛盾」を主張する際の典型例として機能する。答案上は、請求原因事実や主要事実の認定において、前提となる認定と結論部分の認定が論理的に矛盾している場合に、本判例の考え方を援用して判決の違法性を指摘できる。
事件番号: 昭和51(オ)402 / 裁判年月日: 昭和52年5月27日 / 結論: 破棄差戻
「被告は、賃借家屋を改造するにつき賃貸人たる原告に立会の機会を与えず、原告の予期しなかつた改造を行い、また、原告に対して賃借家屋の補強工事をすると約束したのにその完全な履行をしなかつた。被告のこのような改造の方法、程度及びその後の補強のしかたは、賃貸借における当事者間の信頼関係を破壊するものであるから、賃貸借契約を解除…