民法上の組合において、規約に基づいて会長に選任された組合員が、かつて組合を代表して第三者との間で重要な組合財産に関して交換契約を締結し、各組合員において右契約の有効なることを前提として、これによつて得た土地を使用して共同の事業を営んでいた等判示の事実関係のもとにおいては、右組合員は対外的にも総組合員を代理する権限を有していたものと認めるのが相当である。
業務執行組合員に組合代理が認められるとされた事例
民法670条
判旨
民法上の組合における業務執行者は、特段の事情がない限り、対外的に総組合員を代理する権限を有しており、その者が締結した契約の効果は総組合員に帰属する。
問題の所在(論点)
民法上の組合の業務執行者が、組合財産の処分・返還等の対外的取引を行う権限(代理権)を有するか、またその契約の効力が個々の組合員に及ぶかが問題となる。
規範
民法上の組合において、規約に基づき会長等の業務執行者が選任されている場合、当該執行者は単に内部的な業務執行権を有するのみならず、対外的にも各組合員の代理人として総組合員を代理する権限(民法670条、676条等参照)を与えられているものと解するのが相当である。
重要事実
露店業者約40名が各自出資して「D協和会」なる団体を設立し、規約に基づき会長Eを選任した。本団体は土地を共同購入し、店舗を建築して共同事業を行うことを目的としていた。会長Eは、相手方組合との間で、組合財産である土地の使用権を返還する旨の契約を締結したが、組合員の一人である上告人が、当該契約の有効性を争った。
事件番号: 昭和39(オ)1048 / 裁判年月日: 昭和41年4月19日 / 結論: 棄却
合資会社を代表する業務執行社員に対する職務執行停止の仮処分決定は、当事者に対する告知により、第三者に対する関係においても、その効力を生じ、かつ、右仮処分決定に違反してされた行為は無効である。
あてはめ
D協和会は、各組合員が出資し共同事業を営むことを約した民法上の組合であり、土地使用権は組合員に合有的に帰属する。会長Eは規約に基づき選任され、相手方との交渉を一任されていた事実に鑑みれば、Eは対外的に総組合員を代理する権限を有していたといえる。したがって、Eが締結した土地返還契約は、代理権の範囲内の行為として有効に成立する。これにより、組合の土地使用権が消滅した以上、その構成員である上告人の使用権も当然に消滅したと解される。
結論
業務執行者が締結した返還契約は有効であり、組合員個人の使用権も消滅する。上告を棄却する。
実務上の射程
組合の代理関係に関する重要判例である。答案上は、組合の業務執行者の行為が個々の組合員に帰属するかを検討する際、民法670条の業務執行権から対外的代理権を推認する論拠として用いる。任意組合の合有的な財産関係を前提としつつ、取引の安全の観点から業務執行者の包括的な代理権を認めたものといえる。
事件番号: 昭和39(オ)1308 / 裁判年月日: 昭和40年7月23日 / 結論: 棄却
本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
事件番号: 昭和39(オ)697 / 裁判年月日: 昭和40年5月21日 / 結論: 棄却
無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除が権利の濫用として許されない場合には、特段の事情がない限り、転借人に対し土地所有権に基づく土地明渡請求は許されない。
事件番号: 昭和39(オ)620 / 裁判年月日: 昭和41年3月22日 / 結論: 棄却
土地賃貸人が賃貸借契約の終了を理由に土地賃借人に対して建物収去土地明渡を求める訴訟の係属中に、土地賃借人から右建物を賃借し、これに基づき右建物およびその敷地の占有を承継した者は、民訴法第七四条第一項にいう「其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタ」第三者にあたる。
事件番号: 昭和34(オ)1273 / 裁判年月日: 昭和38年4月19日 / 結論: 棄却
一 民法附則第二五条第二項により新法によつて相続人となる者は、同法施行当時生存している必要はないものと解すべきである。 二 右同条同項による相続人が応急措置法施行前に死亡した場合には、その相続については旧法を適用すべきである。