合資会社を代表する業務執行社員に対する職務執行停止の仮処分決定は、当事者に対する告知により、第三者に対する関係においても、その効力を生じ、かつ、右仮処分決定に違反してされた行為は無効である。
合資会社を代表する業務執行社員に対する職務執行停止の仮処分決定の効力
商法151条,民訴法760条
判旨
合資会社の代表社員の職務執行停止の仮処分は、適当な方法で告知されることにより第三者に対しても効力を生じ、これに違反してなされた行為は無効となる。
問題の所在(論点)
合資会社の代表社員の職務執行を停止する仮処分決定の効力発生時期とその対世的効力、および当該仮処分に違反してなされた行為の私法上の効力が問題となる。
規範
代表社員の職務執行を停止する旨の仮処分決定は、民事保全法上の仮の地位を定める仮処分に該当し、当事者に対し適当な方法により告知されることで、当事者および第三者に対する関係でもその効力を生じる。したがって、当該仮処分決定に違反してなされた行為は無効である。
重要事実
合資会社の代表社員に対し、その職務の執行を停止する旨の仮処分決定がなされた。しかし、当該代表社員は、職務執行停止の仮処分決定が効力を有している期間中に、会社を代表して何らかの行為(詳細は判決文からは不明)を行った。この行為の効力が争われた。
事件番号: 昭和41(オ)1429 / 裁判年月日: 昭和43年6月27日 / 結論: 棄却
民法上の組合において、規約に基づいて会長に選任された組合員が、かつて組合を代表して第三者との間で重要な組合財産に関して交換契約を締結し、各組合員において右契約の有効なることを前提として、これによつて得た土地を使用して共同の事業を営んでいた等判示の事実関係のもとにおいては、右組合員は対外的にも総組合員を代理する権限を有し…
あてはめ
本件における職務執行停止の仮処分は、いわゆる仮の地位を定める仮処分であり、適当な方法で告知されれば直ちに効力を発する。この効力は単に当事者間にとどまらず、取引の安全よりも仮処分の実効性を優先すべきであることから、第三者に対しても及ぶと解される。そのため、告知後の職務執行行為は、正当な権限を欠く者の行為として、対外的な関係においても無効と評価される。
結論
代表社員の職務執行停止の仮処分に違反してなされた行為は、第三者との関係においても無効である。
実務上の射程
株式会社の取締役の職務執行停止・職務代行者選任の仮処分についても同様の理が妥当する。会社法上の登記との関係が問題となるが、判例は登記の有無を問わず、告知によって対世的な効力が生じるとしている点に注意が必要である。
事件番号: 昭和38(オ)338 / 裁判年月日: 昭和40年2月11日 / 結論: 棄却
甲乙間の訴において、甲が本件物件について一〇分の三の共有持分権を有することを確認する旨の判決が確定しても、甲乙両者のみの共有関係が確定されたとはかぎらないから、乙の共有持分が一〇分の七と確定されたということはできない。
事件番号: 昭和39(オ)24 / 裁判年月日: 昭和40年2月12日 / 結論: 棄却
土地賃貸人において、転借人に対し後日直接賃貸借契約をしてよい意向を示し、それまでの間は転借について暗黙の承諾をしたと見られるような態度をとり、転借人としては、賃貸人の指図に従い、同人の転貸人に対する賃貸借消滅による建物収去土地明渡請求訴訟に協力する態度をとり、賃貸人が勝訴すれば自ら賃借できると考え、同人から明渡を請求さ…
事件番号: 昭和38(オ)48 / 裁判年月日: 昭和39年6月19日 / 結論: 棄却
一 道路を隔てて存在する甲乙二筆の土地の賃借人が甲地上にその用方違反となるべき石油貯蔵庫を建築した場合において、右二筆の土地が一括して賃貸借の目的となつていて、賃借人としては右二筆の土地を石油類販売業のため総合的に利用しようとして右貯蔵庫を建築した等原審判示の事情(原判決理由参照)のもとでは、賃貸人は右用方違反を事由と…
事件番号: 昭和39(オ)241 / 裁判年月日: 昭和39年10月16日 / 結論: 棄却
後任理事の選任があるまでは退任理事になお従前の権限を行わせる旨寄附行為に規定されている場合の右権限の存続期間は、後任理事の選任手続に要する相当期間に限られると解すべきではない。