後任理事の選任があるまでは退任理事になお従前の権限を行わせる旨寄附行為に規定されている場合の右権限の存続期間は、後任理事の選任手続に要する相当期間に限られると解すべきではない。
後任理事が選任されるまでの間認められた退任理事の権限の存続期間。
商法258条1項
判旨
寄附行為に「理事の任期満了後も後任者が就任するまで職務を行う」旨の定めがある場合、特段の事情がない限り、相当期間の経過のみをもってその権限が消滅することはない。
問題の所在(論点)
寄附行為に基づき任期満了後も職務を継続する理事の権限は、後任者選任に必要な相当期間の経過によって消滅するか。法人の代表権(訴訟代理権)の有無が問題となった。
規範
法人の寄附行為(定款)において、理事の任期が満了した場合でも後任者が就任するまで引き続き理事としての職務を行う旨が定められている場合、当該規定に基づく職務執行権限は、後任者選任手続に要する「相当の期間」に限定されるものではない。法人の運営における代表者の不在による支障を避けるため、後任者が現実に就任するまでその権限は存続する。
重要事実
財団法人である被上告人の理事Dは、昭和7年に選任され、任期3年が経過した昭和10年に任期が満了した。被上告人の寄附行為16条1項但書には「理事の任期が満了した場合、後任者が就任するまで職務を行う」旨の規定があったが、Dの任期満了後、長期間にわたり後任者が選任されないまま、Dが代表者として本件訴訟を提起した。上告人は、当該規定による権限は後任者選任に必要な相当期間に限られるべきであり、本件訴えは無権代理人によるものであると主張して争った。
事件番号: 昭和33(オ)1017 / 裁判年月日: 昭和36年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における訴訟代理人の権限は、特段の事情がない限り、同一の事件について上訴審における代理権をも含むものと解される。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)において被上告人を代理した弁護士に代理権がなかった旨を主張して上告した。しかし、記録上、当該弁護士に対しては第一審段階で訴訟代理委任状が…
あてはめ
被上告人の寄附行為には任期満了後も後任者の就任まで職務を行う旨の明文規定が存在する。上告人は、この権限が相当期間に限定されると主張するが、そのような解釈を採れば、相当期間経過後も後任者が選任されない場合に法人が代表者を欠くことになり、法人の運営に重大な支障を来すことになる。本件においてDの任期満了後に後任者が選任された事実は認められないため、Dは依然として寄附行為の規定に基づき代表権を有する。したがって、Dによる本訴提起は適法な代表者によるものと認められる。
結論
Dは被上告人の適法な代表者であり、本訴提起の権限を有する。相当期間の経過のみで代表権は消滅しない。
実務上の射程
民法上の法人や一般社団・財団法人において、定款等にいわゆる「役員継続任期規定」がある場合の権限の終期に関する判断基準となる。答案上は、法人の代表者の欠缺による運営停止を避けるという「法人運営の継続性」の観点から、形式的な期間経過よりも実質的な後任者の就任(後任者による代替可能性の確保)を重視する論理として活用できる。
事件番号: 昭和41(オ)660 / 裁判年月日: 昭和41年12月1日 / 結論: 棄却
賃料の催告と右催告の趣旨不履行による賃貸借契約解除の意思表示との間に約一四年のへだたりがあつても、原審認定(原判決理由参照)のごとく、相手方においてもはや右催告に基づく解除権の行使はないものと信ずべき正当な事由が生じたとはいえない事情のもとでは、右意思表示のときまで右解除権は有効に存続していたと解することができる。
事件番号: 昭和27(オ)604 / 裁判年月日: 昭和28年10月9日 / 結論: 棄却
商人の借地権の放棄に関する契約は、たとえ右借地権がその営業所の敷地に関する場合であつても、商法第五〇九条にいわゆる「其営業ノ部類ニ属スル契約」とはいえない。
事件番号: 昭和39(オ)1048 / 裁判年月日: 昭和41年4月19日 / 結論: 棄却
合資会社を代表する業務執行社員に対する職務執行停止の仮処分決定は、当事者に対する告知により、第三者に対する関係においても、その効力を生じ、かつ、右仮処分決定に違反してされた行為は無効である。
事件番号: 昭和41(オ)1429 / 裁判年月日: 昭和43年6月27日 / 結論: 棄却
民法上の組合において、規約に基づいて会長に選任された組合員が、かつて組合を代表して第三者との間で重要な組合財産に関して交換契約を締結し、各組合員において右契約の有効なることを前提として、これによつて得た土地を使用して共同の事業を営んでいた等判示の事実関係のもとにおいては、右組合員は対外的にも総組合員を代理する権限を有し…