建物の区分された一室の賃貸借契約において、その使用目的を限定する特約は無効ではない。
借室の使用目的を限定する特約の効力
民法601条,借家法6条
判旨
賃貸借契約における使用目的限定の特約は公序良俗等に反して無効とはいえず、また居住や職業選択の自由を制約するものでもない。不法行為に基づく損害賠償請求において、行為と損害の間に相当因果関係が認められない場合は、請求を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
1. 賃貸借契約における使用目的限定の特約は、公序良俗や憲法上の基本権(居住・職業選択の自由)に抵触し無効となるか。2. 不法行為に基づく損害賠償請求において、相当因果関係が欠如する場合の判断はどうあるべきか。
規範
1. 賃貸借契約において、目的物の使用方法を制限する「使用目的限定の特約」を設けることは、特段の事情がない限り私法上の契約自由の原則に基づき有効である。2. 不法行為(民法709条)に基づく損害賠償が認められるためには、加害行為と発生した損害との間に法律上の相当因果関係が存在しなければならない。
重要事実
上告人と被上告人との間の契約において、物件の使用目的を限定する特約が付されていた。上告人は、当該特約が居住の自由や職業選択の自由を制約するものであり無効であると主張し、また被上告人の行為によって損害が生じたとして不法行為に基づく損害賠償を請求した。原審は、損害と行為との間の相当因果関係を否定し、特約の有効性を認めた。
あてはめ
1. 本件特約を無効と解すべき法的根拠はなく、その内容も上告人の居住や職業選択の自由を不当に制約する趣旨とは解されない。したがって、公序良俗違反等の無効事由は存在しない。2. 損害賠償請求については、原審が認定した事実関係に照らせば、上告人が主張する損害は被上告人の行為から通常生じるものとはいえず、法律上の相当因果関係が認められない。
結論
本件使用目的限定特約は有効であり、憲法違反の主張は前提を欠く。また、相当因果関係の欠如により不法行為に基づく損害賠償請求は認められない。
実務上の射程
契約上の特約が憲法上の基本権を侵害するかどうかが争点となる場面で、私人間効力の観点から「特約が自由を制約する趣旨ではない」と判断する際の参照となる。また、不法行為の答案では、相当因果関係の存否が結論を左右することを再確認させる事案である。
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一 建物所有を目的とする土地の賃貸借中に、賃借人が賃貸人の承諾をえないで借地内の建物の増改築をするときは、賃貸人は催告を要しないで賃貸借を解除することができる旨の特約があるにかかわらず、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで増改築をした場合において、増改築が借地人の土地の通常の利用上相当であり、土地賃貸人に著しい影響を及ぼさな…