提出にかかる書証記載の土地につき、その位置、環境、地価、当該賃貸借の沿革、賃貸人と賃借人ととの関係のその他賃料決定に関し重要な諸点が不明であるときは、右書証によつて右土地以外の係争土地の賃料の認定を動かすことはできない。
書証を排斥した判断が正当であるとされた事例
民訴法185条
判旨
当事者が相手方の主張した事実を明らかに争わないときは、これを自白したものとみなす(権利自白を除く)。また、証拠としての価値を判断するにあたっては、比較対象となる土地等の諸条件が不明であれば、その証拠によって認定を動かすことはできない。
問題の所在(論点)
1. 相手方の主張事実を明らかに争わない場合、自白が成立するか。 2. 比較対象となる諸条件が不明な書証に基づき、原審の事実認定を覆すことができるか。
規範
1. 民事訴訟法における自白の擬制:当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしないときは、その事実を自白したものとみなす。 2. 自由心証主義と証拠の証明力:特定の証拠から事実を認定するに際しては、当該証拠の内容(土地賃料等の場合、位置、環境、地価、沿革、当事者関係等)が具体的に明らかであり、既存の認定を覆すに足りる客観的合理性を有していなければならない。
重要事実
上告人は、被上告人が主張した事実について、裁判の過程で明らかに争わなかった。また、上告人は本件土地の賃料認定を争うために複数の書証を提出したが、それらの書証に記載された比較対象地の位置、環境、地価、賃貸借の沿革、当事者関係といった賃料決定に不可欠な重要要素が判然としない状態であった。
あてはめ
1. 本件記録によれば、上告人は被上告人の主張事実を明らかに争っていないと認められる。したがって、民事訴訟法上の規定に基づき、当該事実を自白したものとみなした原審の判断は正当である。 2. 上告人が提出した書証については、賃料決定に際して極めて重要な判断要素(位置・環境・地価等)が「皆目不明」である。このような不分明な資料は、適法に認定された本件土地の賃料額を左右する証拠価値を有しないと評価される。
結論
上告人の対応から自白の擬制が成立し、かつ上告人提出の書証は事実認定を動かすに足りないため、上告は棄却される。
実務上の射程
実務上、準備書面や口頭弁論において相手方の事実主張を具体的に否認しない場合の不利益(擬制自白)を確認する事例である。また、賃料や地価を争う実務において、比較対象物件の属性情報を欠く証拠は、自由心証の範囲内で証拠価値が否定されやすいことを示している。答案作成上は、事実認定のプロセスにおける立証の不十分さを指摘する際の論拠として有用である。
事件番号: 昭和34(オ)710 / 裁判年月日: 昭和36年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が釈明権を行使しなかったとしても、他の証拠により事実認定が維持される場合には、判決の結果に影響を及ぼすべき違法があるとはいえない。 第1 事案の概要:上告人は、本件係争地を買い受けたと主張したが、原審は証拠に基づき、上告人が被上告人の先代から土地を賃借したものであると認定した。上告人は、永代…
事件番号: 昭和39(オ)848 / 裁判年月日: 昭和40年10月5日 / 結論: 棄却
供託書の記載を司法書士に依頼するに際し、法律知識のとぼしい普通の人間は、法律専門職である司法書士に対し供託原因の記載内容まで指示することは通常期待できない、という経験則はない。
事件番号: 昭和42(オ)1441 / 裁判年月日: 昭和43年6月6日 / 結論: 棄却
土地の不法占有を原因とする賃料額相当の損害金請求訴訟において、原告が右相当賃料額を一ケ月金一、〇九〇円と主張したのに対し、被告はいつたん右主張を認めたが、控訴審にいたつてこれを争い、その金額を一ケ月金一、〇八九円である旨主張する等判示のような事情が存在する場合には、右被告の主張の態度、変更後の陳述の内容その他本件に表わ…