代理人のみが出頭した調停期日において、調停調書に本人および代理人の出頭を記載しても、調停の効力に影響がない。
代理人のみが出頭した調停期日において、本人および代理人の出頭を記載した調停調書の効力
民事調停法16条,民訴法143条4号
判旨
調停期日に本人の出頭がなくても、代理権を有する代理人が出頭して調停が成立した以上、調停調書の記載に本人の出頭に関する誤りがあったとしても調停は無効とはならない。
問題の所在(論点)
調停期日に当事者本人が出頭せず、代理人のみが出頭して調停が成立した場合において、調停調書の本人の出頭に関する記載に誤りがあることが調停を無効とする理由になるか。
規範
調停の成立において、当事者本人の出頭は必ずしも絶対的な要件ではなく、適法な代理権を有する代理人が出頭し、その合意によって調停が成立した場合には、その効力は本人に帰属する。また、調書の記載に形式的な瑕疵があっても、実質的な成立要件を欠かない限り、調停を無効とすることはできない。
重要事実
当事者DとEの間の養子縁組の有効性等が争われた事案において、本件調停の成立時に相手方本人が出頭していたかどうかが争点となった。一審および原審は、本件調停期日に相手方本人の代理人として適法な代理権を有するFが出頭し、同人によって調停が成立した事認を認定した。これに対し上告人は、調停調書に相手方本人の出頭に関する誤った記載があることを理由に、調停の無効を主張して上告した。
事件番号: 昭和42(オ)634 / 裁判年月日: 昭和43年2月9日 / 結論: 棄却
調停手続に利害関係を有する者が調停期日に毎回出頭して居り、当事者双方および調停委員も同人が調停期日に出頭することを希望していた場合でも、これだけでは(原判決理由挙示事実関係参照)同人を民事調停法第一一条にいう、調停手続に参加した利害関係人ということはできない。
あてはめ
本件では、調停期日に相手方代理人として正当な代理権を有するFが出頭し、同人により合意がなされ調停が成立している。この事案においては、仮に上告人が主張するように相手方本人の出頭に関して調停調書に誤記があったとしても、それは調停成立という実体的な効力を左右するものではない。代理人によって適法に合意がなされている以上、手続的な瑕疵は判決(調停の効力)に影響を及ぼさない軽微なものにとどまると解される。
結論
適法な代理人により調停が成立した以上、調書の記載に誤りがあっても調停は無効とはならない。上告棄却。
実務上の射程
民事調停手続における代理人による合意の有効性を確認した判例である。答案上は、調停や和解において本人の出頭が欠けていたとしても、代理権の範囲内であればその効力を否定できないとする根拠として活用できる。
事件番号: 昭和40(オ)1160 / 裁判年月日: 昭和42年1月12日 / 結論: 棄却
当事者尋問のため出頭した当事者本人の出頭を口頭弁論調書に記載することは必要でない。
事件番号: 昭和43(オ)1309 / 裁判年月日: 昭和45年3月17日 / 結論: 棄却
建物収去土地明渡の判決においては、土地の地積および建物の床面積を、計量法所定の計量単位によらないで、尺貫法による計量単位によつて表示しても違法ではない。
事件番号: 昭和42(オ)1441 / 裁判年月日: 昭和43年6月6日 / 結論: 棄却
土地の不法占有を原因とする賃料額相当の損害金請求訴訟において、原告が右相当賃料額を一ケ月金一、〇九〇円と主張したのに対し、被告はいつたん右主張を認めたが、控訴審にいたつてこれを争い、その金額を一ケ月金一、〇八九円である旨主張する等判示のような事情が存在する場合には、右被告の主張の態度、変更後の陳述の内容その他本件に表わ…
事件番号: 昭和34(オ)987 / 裁判年月日: 昭和37年4月20日 / 結論: 棄却
訴訟繋属中その訴訟の目的たる権利の譲渡を受けたとする者が、民訴第七三条、第七一条により訴訟参加を為す場合において、譲渡人たる参加人と前主たる原告との間に権利の譲渡につき争がなく、参加申立においても原告を相手方としないときは、原告の代理人として本訴訟を追行して来た弁護士が、更に、参加人たらんとする者の委任を受け、その代理…