当事者尋問のため出頭した当事者本人の出頭を口頭弁論調書に記載することは必要でない。
当事者尋問のため出頭した当事者本人の出頭を口頭弁論調書に記載することの要否
民訴法143条
判旨
口頭弁論調書の当事者出頭欄への記載の有無は、当事者本人が証拠調べ(本人尋問)のために出頭し取調べを受けたという事実の認定を左右するものではない。
問題の所在(論点)
口頭弁論調書の出頭欄に記載がない場合、その期日において当事者本人の取調べが行われたという事実を否定すべきか。調書の記載の証明力と手続の適法性が問題となる。
規範
口頭弁論調書の当事者出頭欄は、口頭弁論(弁論手続)を行うために出頭した当事者を記載するものである。したがって、証拠調べ(本人尋問)のために出頭し、実際に取調べが行われた事実がある場合には、出頭欄に記載がないとしても、その取調べの事実自体を否定する根拠とはならない。
重要事実
原告本人が第一審の第6回口頭弁論期日において、当事者本人として尋問(取調)を受けていた。しかし、当該期日の口頭弁論調書の当事者出頭欄には、原告本人が出頭した旨の記載が欠けていた。上告人は、調書に出頭の記載がないことを理由に、手続上の違法等を主張して上告した。
事件番号: 昭和44(オ)1053 / 裁判年月日: 昭和45年2月6日 / 結論: 棄却
口頭弁論調書に準備書面が陳述された旨の記載がなく、かつ、その記載のないことにつき当事者から異議の述べられた形跡のない場合においては、特段の事情のないかぎり、右準備書面は口頭弁論期日に陳述されなかつたものというべきである。
あてはめ
記録上、原告本人が第6回口頭弁論期日において当事者本人として取調べを受けている事実は明確である。口頭弁論調書の出頭欄は、本来、口頭弁論を行うために出頭した者を記録する箇所であり、証拠調べのために出頭し現に取調べが実施されたという実態を、出頭欄の不備のみによって覆すことはできない。したがって、出頭欄に記載がないことをもって、取調べの事実を左右するほどの違法があるとはいえない。
結論
本件上告は棄却される。調書出頭欄の記載欠如は、現に行われた本人尋問の結果や手続の有効性に影響を及ぼさない。
実務上の射程
調書の記載事項と証明力に関する判断である。民事訴訟法上の調書の排他的証明力(160条3項等)の対象となる「口頭弁論の規定の遵守」の範囲を考える際、形式的な記載の不備が直ちに実体的な手続の存否を左右しないことを示す事例として活用できる。
事件番号: 昭和41(オ)1185 / 裁判年月日: 昭和42年4月20日 / 結論: 棄却
代理人のみが出頭した調停期日において、調停調書に本人および代理人の出頭を記載しても、調停の効力に影響がない。
事件番号: 昭和37(オ)106 / 裁判年月日: 昭和38年6月7日 / 結論: 棄却
一 準備書面の第一審口頭弁論期日における陳述がなされなかつたからといつて、控訴審でこれに記載されている主張をするかどうかを確かめる釈明義務はない。 二 (省略)
事件番号: 昭和30(オ)136 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が唯一の証拠として申請した本人尋問について、期日に正当な理由なく欠席し、その際代理人が他に立証はない旨を述べた場合には、証拠申請を放棄したものとみなされる。 第1 事案の概要:上告人は原審において抗弁事実を立証するため、唯一の証拠として上告人本人の尋問を申請した。裁判所はこれを許容し証拠調べ…
事件番号: 昭和30(オ)303 / 裁判年月日: 昭和31年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書における訴訟代理人の氏名の記載は、必要的記載事項(民事訴訟法191条等)ではないため、その誤記や欠落が直ちに訴訟手続の無効をもたらすものではない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における訴訟代理人の表示に不備があることを理由に、原審における訴訟手続が訴訟代理権のない者によってなされたもの…