財団法人の寄付行為に評議員の解任に関する規定はないが、その選任については専ら会長の職権とされていること、選任された評議員については任期の定めがされていないことなどの事情に徴すれば、会長に評議員の解任権があるものと解するのが相当である。
財団法人の評議員の解任に関する寄付行為の解釈
民法39条
判旨
寄附行為に明文の規定がない場合であっても、法人の諸事情を考慮し、会長に評議員の解任権があるものと解することが可能な場合がある。本件では、会長による評議員の解任権を認めた原審の判断が正当として維持された。
問題の所在(論点)
法人の寄附行為に明文の規定がない場合に、会長に評議員の解任権が認められるか。
規範
法人の役員等の解任権限については、定款(寄附行為)に明文の規定がない場合であっても、当該法人の組織構造、選任手続、役職の性質、および運用の実態等を総合的に考慮し、合理的な解釈によって特定の機関にその権限が属すると認めることができる。
重要事実
被上告人(協会)において、会長が評議員を解任した。当該協会の寄附行為(定款)には、会長が評議員を解任できる旨の明文規定が存在しなかった。上告人は、解任権の根拠がないとして解任の無効を争い、上告した。
事件番号: 昭和33(オ)600 / 裁判年月日: 昭和34年4月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】財団法人の理事長等の職務権限の不存在確認を求める訴えにおいて、仮に当該役員の選任規定が無効であっても、原告が当然に後任の役員に選任される地位にない限り、確認の利益を認めることはできない。 第1 事案の概要:財団法人D文庫の寄附行為(定款)には、理事長は「設立者累代の家督相続人」が就任する旨の規定が…
あてはめ
最高裁は、原審(第一審を含む)の認定判断を引用し、寄附行為に明文規定がなくとも、諸般の事情から会長に評議員の解任権があるものと解すべきであるとした。具体的な判断過程は詳細に示されていないが、原審が挙げた証拠関係に照らし、会長による解任権行使を正当とする判断過程に違法はないと結論付けた。これは、形式的な規定の有無のみならず、法人の自治的運営の実態を重視した判断といえる。
結論
寄附行為に明文の規定がない場合でも、会長に評議員の解任権があるものと解すべきであり、本件解任は有効である。
実務上の射程
本判決は、法人の内部規律に欠缺がある場合でも、組織の性質に応じた解釈によって権限の所在を確定できることを示唆している。答案上は、定款等の規定が不十分な場面において、選任権と解任権の対応関係や法人の運営実態から権限を基礎付ける際の根拠として活用できる。
事件番号: 平成2(オ)821 / 裁判年月日: 平成2年10月29日 / 結論: 棄却
寺院の住職の選任権又は右住職となる資格を有することを主張するにすぎない者は、右住職が宗教法人の代表役員に就任するものとされている場合であっても、右代表役員の地位の不存在の確認を求める法律上の利益を有しない。
事件番号: 昭和42(オ)379 / 裁判年月日: 昭和42年9月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】招集権限のない者によって招集された評議員会及び理事会は法律上不存在であり、そこでなされた役員選任等の決議も効力を有しない。そのため、当該決議に基づき選任された代表者自称者による訴訟行為は、代表権を欠く不適法なものとして却下される。 第1 事案の概要:上告人法人の寄附行為では、理事長が理事会及び評議…
事件番号: 昭和61(オ)531 / 裁判年月日: 平成5年9月7日 / 結論: 棄却
特定の者が宗教団体の宗教活動上の地位にあることに基づいて宗教法人である当該宗教団体の代表役員の地位にあることが争われている訴訟において、その者の宗教活動上の地位の存否を審理、判断するにつき、当該宗教団体の教義ないし信仰の内容に立ち入って審理、判断することが必要不可欠である場合には、右の者の代表役員の地位の存否の確認を求…