証券取引法第五一条第一項に基づき証券会社に関する省令第四条の規定する顧客の同意書の記載事項中に判示のような白紙の部分があつたとしても、一般保護預かりから保証金代用証券への移管の旨および不審の点があれば申し出られたい旨を当該顧客に通知したが別段異議の申出がなかつた等判示の事情があるときは、右移管の措置は有効であると解すべきである。
証券取引法第五一条第一項に基づき証券会社に関する省令第四条の規定する顧客の同意書の記載事項中に白紙の部分があつても移管の措置が有効であると認められた事例
証券取引法51条1項,証券会社に関する省令4条
判旨
信用取引保証金代用有価証券の担保使用に関する同意書に銘柄等の白紙部分があっても、事後的に移管の通知がなされ顧客から異議がなかったなどの事情があれば、当該移管措置は無効とはならない。
問題の所在(論点)
信用取引において、担保使用への同意を記した書面に銘柄等の具体的記載がない(白紙部分がある)場合、法令上の書面同意要件を欠くものとして、当該株式の移管措置は無効となるか。
規範
証券会社が顧客の有価証券を信用取引の担保として使用する際に必要な「書面による同意」の効力について、法令(旧証券取引法51条1項に基づく省令)が定める記載事項の一部が同意書作成時に欠けていたとしても、契約の全体的な経緯や顧客の事後の承認的態度に照らし、実質的に顧客の意思に基づくものと認められる場合には、当該手続きを直ちに無効とすべきではない。
重要事実
顧客Dは証券会社(被上告人)に対し、預託している有価証券を信用取引保証金代用有価証券として担保に使用することを同意する旨の同意書を差し入れた。しかし、その同意書には具体的な銘柄や数量を記載すべき箇所が白紙のままであった。証券会社は、Dの信用取引残高に応じ、一般保護預りから代用証券へ株式(G時計株等)を移管し、その都度、銘柄や数量を明記した書面でDに通知した。Dはこれらの通知に対し、長期間にわたり何ら異議を申し立てていなかった。
あてはめ
本件では、同意書作成時に銘柄等の白紙部分が存在した。しかし、証券会社は移管の都度、具体的な銘柄・数量を明記した書面を顧客に送付し、不審な点があれば申し出るよう促している。これに対し、顧客は異議を述べることなく取引を継続していた。このような事実関係の下では、白紙部分があったとしても、実質的には顧客の承諾に基づき、必要とされる証拠能力を備えた合意が形成されていたといえる。したがって、形式的な記載の不備のみをもって移管措置を無効と判断することはできない。
結論
信用取引保証金代用有価証券への移管措置は有効である。
実務上の射程
行政法規上の書面具備要件(現行の金融商品取引法関連)に形式的な不備がある場合でも、私法上の効力を直ちに否定せず、取引の経緯や事後の追認等の事情を総合考慮して有効性を認める判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)413 / 裁判年月日: 昭和26年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が法定の事由に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して上告を提起したが、その上告理由の内容は、当時の民事上告審判特例法1号から3号までのいずれ…