滞納者の所有財産に対する滞納処分が、その滞納者の滞納税金のみならず、誤つて他の者の滞納税金をも徴収するために行なわれた場合には、右処分の瑕疵は、他の滞納者の滞納税金に対するものとしてなされた部分についてのみ存し、その滞納処分全体を違法ならしめるものではない。
滞納者の所有財産に対し右滞納者以外の者の滞納税金をも併せて徴収するために行なわれた滞納処分の適否
旧国税徴収法24条
判旨
滞納者の所有財産に対し、本人及び他人の滞納税金の双方を目的としてなされた滞納処分は、他人の滞納税金に関する部分に瑕疵があるとしても、本人分に関する部分が当然に違法となるものではない。本人の滞納税額に比して財産価額が著しく過大で、必要の程度を超えたと認められる特段の事情がない限り、当該処分は適法である。
問題の所在(論点)
滞納者本人の滞納税だけでなく、他人の滞納税をも徴収する目的でなされた滞納処分において、その他人分に係る瑕疵が処分全体の効力に及ぶか。また、超過徴収としての違法性が認められるか。
規範
1. 滞納者の財産に対し、誤って他人の滞納税をも徴収する目的でなされた滞納処分の瑕疵は、他人の納税義務に関する部分にのみ存し、直ちに処分全体を違法とするものではない。 2. もっとも、他人の滞納税分を除外して本人の滞納税の徴収のみを目的とした場合に、対象財産の価額が本人の滞納税額に比して著しく過大となり、滞納処分がその必要の程度を超えたと認められるような特段の事情がある場合には、当該処分は違法となる。
重要事実
市(被上告人)は、上告人の所有する宅地に対し、上告人本人の滞納市税(135,980円)だけでなく、その元妻の滞納市税(152,552円)をも併せて徴収する目的で公売処分を行った。当該宅地は、当初の見積価格533,000円では入札がなく、5回目の公売で306,000円で落札された。上告人は、他人の税金のために自己の財産が処分された瑕疵を理由に、公売処分の取消しまたは無効を主張した。
あてはめ
1. 本件公売処分は、妻の滞納税徴収を目的とした点では違法であるが、その瑕疵は当該部分に止まり、上告人本人の滞納税を目的とした部分を当然に違法とするものではない。 2. 公売物件の落札価格(306,000円)は、当初の見積価格からの低減を経て決定された経緯からすれば、一般市価に比して著しく低廉とはいえない。 3. 当該落札価格を上告人本人の滞納税額(135,980円)と対比しても、徴収金額を著しく超過した必要性のない処分とは認められない。したがって、本人の滞納税徴収の目的の範囲内では適法なものとして受忍すべきである。
結論
他人の滞納税分に係る瑕疵は処分全体の取消・無効理由とはならず、本人の滞納税額との関係で著しい超過徴収にあたるともいえないため、本件公売処分は有効である。
実務上の射程
行政処分の可分的な瑕疵の法理を示す。特に滞納処分において、徴収対象に他人の税金が含まれていたとしても、本人分について必要最小限度の範囲内であれば処分の効力が維持されることを明らかにした。実務上は、超過差押えの禁止(国税徴収法63条等)の趣旨を考慮しつつ、処分の必要性と相当性を判断する基準として機能する。
事件番号: 昭和47(行ツ)67 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
国税徴収法九六条に基づく公売の通知は、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分にあたらない。
事件番号: 昭和49(オ)1202 / 裁判年月日: 昭和50年12月26日 / 結論: 棄却
土地の買主が、所有権移転登記をうけなかつたが申請手続の過誤により隣地につき所有権移転登記がされたためであり、土地の引渡はうけその使用をつづけた等判示の事実関係のもとにおいては、買受代金の支払について所有権移転登記手続との同時履行を主張することは信義則上許されない。
事件番号: 昭和40(オ)1498 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: 棄却
債務者が、被担保債権額以下の実価を有する抵当不動産を相当な価格で売却し、その代金を当該債務の弁済に充てて抵当権の消滅をはかる場合には、右不動産売却行為は、民法第四二四条所定の債権者を害する行為にはあたらない。
事件番号: 昭和33(オ)705 / 裁判年月日: 昭和36年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買代金の支払方法に関する契約において、買主が残代金の大部分を期日に弁済しなかったことにより、担保の目的物たる山林の所有権が確定的に売主に帰属するとした原審の判断を適法として維持した。 第1 事案の概要:上告人(買主)と被上告人(売主)は、土地の売買契約を締結したが、その代金支払方法について、残代…