普通地方公共団体が共同墓地使用条例に基づいて維持・管理した土地が埋葬以外の目的に使用することができないものである場合において、戦時下の食糧事情の悪化に伴い、その小部分が暫定的に農耕地として一部町民に使用を許されたとしても、その墓地たる性質に変動をきたすものではなく、右土地は農地調整法または農地法にいう農地にあたらない。
普通地方公共団体が共同墓地使用条例に基づいて維持・管理した土地が現実に耕作されていたとしても、農地調整法または農地法にいう農地にあたらないとされた事例
農地調整法(昭和13年法律第67号)2条1項,農地法2条1項
判旨
都市計画に基づき墓地新設許可を得て維持管理されている土地は、一時的に農耕地として開放されたとしても農地法上の「農地」には該当しない。
問題の所在(論点)
墓地としての性質が確定し、法令上埋葬以外の使用が禁じられている土地が、食糧難により一時的に耕作された場合に、農地法上の「農地」に該当するか。
規範
土地が農地法(旧農地調整法を含む)にいう「農地」に該当するか否かは、客観的な現況のみならず、当該土地が本来有する性質や法令上の制限、維持管理の状況を総合して判断すべきである。特に、埋葬以外の目的に使用することができないという性質が終局的に確定している土地については、一時的に耕作の用に供されたとしても、その性質に変動を来すものではない。
重要事実
被上告市(旧町)は、都市計画事業の認可を受けて本件土地を含む広大な土地を買収し、墓地新設許可を得て条例に基づき維持管理していた。当該土地は本来埋葬以外の目的に使用できないものであったが、戦時下の食糧事情悪化に伴い、暫定的に農耕地として一部町民に開放された。その後、上告人を含む耕作者から土地が返還されたが、上告人は当該土地が農地法上の農地にあたると主張し、知事の許可等の欠缺を争った。
あてはめ
本件土地は、既に都市計画上の認可及び県知事の墓地新設許可を受け、条例に基づき墓地として管理されていた。このように埋葬以外の目的に使用できない性質が終局的に確定している土地においては、戦時中の特殊な事情による一時的な耕作が行われたとしても、その客観的性質が農地に転換したものとはいえない。したがって、本件土地は農地法上の農地にはあたらないと評価される。
結論
本件土地は農地法上の農地に該当しない。したがって、農地法所定の権利移転規制等の適用を受けず、上告人の主張は認められない。
実務上の射程
土地の「農地性」の判断において、単なる物理的な現況だけでなく、公法上の規制や本来の目的による制約を重視する射程を持つ。墓地や公園予定地等、行政目的が確定している土地の暫定利用をめぐる紛争において、農地法の適用を否定する有力な根拠となる。
事件番号: 昭和24(オ)262 / 裁判年月日: 昭和26年8月24日 / 結論: 棄却
一 かつては畑として耕作された土地が、昭和三年春に耕作が廃止されて原野となり、その後引き続き十数年間耕作されず荒廃していた場合において、昭和一九年春に至り附近居住者十数名が所有者には無断で休閑地利用の菜園として耕作を始めたが、所有者から明渡の請求を受け同年秋耕作物の収獲後明け渡してしまい、右土地が再び休閑地となり、昭和…
事件番号: 昭和40(オ)1482 / 裁判年月日: 昭和41年7月26日 / 結論: その他
農地の賃貸借の解除は、訴を以てする場合であつても、都道府県知事の許可を受けないかぎり、その効力を生じない。
事件番号: 昭和33(オ)590 / 裁判年月日: 昭和34年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の農地に該当するか否かは、土地の客観的な現況によって判断されるべきであり、もともと宅地であった土地を一時的な約束で家庭菜園として利用させているに過ぎない場合は、農地には当たらない。 第1 事案の概要:本件係争地は、もともと所有者Dの家屋に附属する純然たる宅地であった。しかし、戦災により家屋…
事件番号: 昭和34(オ)42 / 裁判年月日: 昭和35年3月17日 / 結論: 棄却
小学校の学校農園のなかに建物の敷地と空地がある場合、右農園が肥培管理されており、建物は農園に附随した教室、農園管理者の宿舎、農具倉庫などであり、空地は児童の集合場所、通路等に使用され、その使用目的並びに客観的使用状況において学校農園として不可分の一体を形成しているときは、右建物の敷地および空地も農地と認めて妨げない。