小学校の学校農園のなかに建物の敷地と空地がある場合、右農園が肥培管理されており、建物は農園に附随した教室、農園管理者の宿舎、農具倉庫などであり、空地は児童の集合場所、通路等に使用され、その使用目的並びに客観的使用状況において学校農園として不可分の一体を形成しているときは、右建物の敷地および空地も農地と認めて妨げない。
学校農園内の建物の敷地と空地を農地と認めた事例。
農地法2条,農地調整法2条
判旨
農地法上の「農地」に該当するか否かは、土地の客観的な使用状況及び使用目的によって判断される。学校農園として教官指導の下で児童が作物を栽培し、管理者が肥培管理している土地は、付随する建物敷地や空地を含め、不可分の一体として農地と認められる。
問題の所在(論点)
学校教育の一環として利用される「学校農園」や、それに付随する建物敷地・空地が、農地法上の「農地」に該当するか。
規範
ある土地が農地法上の「農地」に該当するか否かは、単なる地目等の形式的判断ではなく、土地の「使用目的」及び「客観的使用状況」に基づき、実質的に判断すべきである。また、主たる耕作地に付随する施設建物(教室、宿舎、倉庫等)や通路等の空地であっても、それらが農地と不可分の一体を形成している場合には、その全部を農地として認定することができる。
重要事実
本件各土地は、小学校において当初から農園管理者や担当官が管理し、教官指導の下で児童が麦、馬鈴薯、蔬菜類、果樹等の栽培・学習を行ってきた。土地上には、農園に付随する教室、管理者の宿舎、農具倉庫が設置され、空地は児童の集合場所や通路として利用されていた。上告人(原告)らは、これらの土地の所有権取得に関連し、本件各土地が「農地」に該当するか否かを争った。
事件番号: 昭和33(オ)590 / 裁判年月日: 昭和34年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の農地に該当するか否かは、土地の客観的な現況によって判断されるべきであり、もともと宅地であった土地を一時的な約束で家庭菜園として利用させているに過ぎない場合は、農地には当たらない。 第1 事案の概要:本件係争地は、もともと所有者Dの家屋に附属する純然たる宅地であった。しかし、戦災により家屋…
あてはめ
本件各土地は、児童の労力不足を管理者が補いつつ、現在まで継続的に肥培管理されてきた本格的な農地である。また、土地上の建物は農園管理に密接に関連する施設であり、空地も農園利用のための集合場所や通路として機能している。これらは使用目的及び客観的な状況において、学校農園として不可分の一体を形成しているといえる。したがって、これら周辺地を含めた土地全体が農地としての実体を有していると評価される。
結論
本件各筆の土地は、その使用目的および客観的使用状況に照らし、全部が学校農園に供されている農地であると認められる。
実務上の射程
農地の定義に関する「客観主義」を確立した判例である。農地法上の許可の要否を検討する際、登記簿上の地目にとらわれず、現況と利用目的から一体的に判断する基準として機能する。特に、耕作地そのものだけでなく、それに付随する周辺用地の農地性判断において、不可分の一体性を強調する際に有用である。
事件番号: 昭和31(オ)582 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合…
事件番号: 昭和32(オ)890 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地の明渡請求が権利の乱用に該当するか否かは、具体的な事実関係に基づき、請求によって得られる利益と相手方の被る不利益等を比較衡量して判断されるべきであり、本件においては権利の乱用にはあたらない。 第1 事案の概要:上告人(被告)らが占有する本件土地につき、被上告人(原告)が土地明渡を求めた事案であ…
事件番号: 昭和32(オ)659 / 裁判年月日: 昭和33年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利の行使が権利の濫用に該当するか否かは、確定された事実関係に基づき、客観的・総合的な諸事情を照らして判断される。本件においては、原審の認定した事実の範囲内では権利の濫用とは認められないと判断された。 第1 事案の概要:上告人らは、被上告人による本訴請求が権利の濫用にあたると主張して争った。原審は…