宗教法人を当事者としない訴によつて当該法人の代表者たる地位の確認を求めることは、即時確定の利益を欠き、許されない。
宗教法人を当事者としない訴によつて当該法人の代表者たる地位の確認を求めることの許否
民訴法225条,宗教法人令(昭和20年勅令第719号)8条
判旨
宗教法人を被告とせず、個人を被告として法人の代表者たる地位の確認を求める訴えは、判決の効力が法人に及ばず紛争の根本的解決にならないため、確認の利益を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
法人の代表者たる地位を争う場合に、法人を当事者(被告)とすることなく、代表者の地位を争う個人を被告として地位の確認を求める訴えに、確認の利益(即時確定の利益)が認められるか。
規範
確認の訴えにおいて確認の利益が認められるためには、当該訴訟が関係当事者間の紛争を根本的に解決する手段として有効適切でなければならない。法人の代表者の地位を争う場合、法人自体を当事者としない限り、認容判決を得てもその効力(既判力)は法人に及ばず、法人との間で別途反対の法律関係を主張される余地が残る。したがって、このような訴えは即時確定の利益を欠く。
重要事実
宗教法人Dの主管者(代表者)であった被上告人が包括団体によって解任され、代わって上告人が主管者に任命された。上告人は、自らの主管者としての地位を争う被上告人に対し、上告人がDの主管者の地位にあることの確認を求める訴えを提起した。しかし、この訴訟において宗教法人D自体は被告とされておらず、個人である被上告人のみが被告であった。
あてはめ
本件訴えは、宗教法人Dを当事者とせず、前主管者である被上告人のみを相手方として、上告人がDの主管者であることの確認を求めるものである。この場合、たとえ上告人を主管者と認める判決が確定しても、その効力は法人であるDには及ばない。Dとの関係では、何人も当該判決の内容に反する法律関係を主張することが妨げられず、主管者の地位をめぐる紛争を根本的に解決する手段として有効適切とは認められない。よって、本件確認請求は即時確定の利益を欠くといえる。
結論
法人を当事者とせず、代表者たる地位の確認を求める訴えは、確認の利益を欠き不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
法人の代表権を争う訴訟において、被告適格(または確認の利益)を判断する際の重要判例。実務上、代表者の地位を争う場合は、代表者個人ではなく「法人」を被告として訴えを提起すべきであるという準則を示す。会社法上の役員の地位確認等にも妥当する法理である。
事件番号: 昭和60(オ)1529 / 裁判年月日: 平成2年4月17日 / 結論: その他
取締役に選任する旨の株主総会の決議が不存在である場合に、その者を構成員の一員とする取締役会で選任された代表取締役が、その取締役会の招集決定に基づき招集した株主総会において取締役を選任する旨の決議がされたときは、右決議は、いわゆる全員出席総会においてされたなど特段の事情がない限り、不存在である。
事件番号: 昭和61(オ)1300 / 裁判年月日: 昭和62年5月29日 / 結論: 破棄自判
宗教法人の代表役員に就任したと称している者に対し、自己が代表役員であることの確認又は右の者が代表役員でないことの確認を求める訴えは、右法人に対し自己が代表役員であることの確認を求める訴えとともに提起しても、確認の利益を欠く。
事件番号: 昭和27(オ)4 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】役員選任決議の無効および役員の地位不存在の確認を求める訴えにおいて、対象となる役員が既に退任し、その後の役員でないことが明白である場合には、確認の利益を欠く。 第1 事案の概要:上告人は、被上告会議所が昭和25年6月28日の議員総会で行った役員選任決議が無効であること、および特定の個人が副会頭の地…