右の場合には、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない。
土地所有者がその所有権にもとづいて地上の建物の共同相続人を相手方として建物収去土地明渡を請求する訴訟は必要的共同訴訟か
民訴法62条
判旨
土地所有者が建物所有者に対し建物収去土地明渡を求める訴訟において、建物所有者が死亡し複数人が共同相続した場合、当該訴訟は固有必要的共同訴訟ではない。
問題の所在(論点)
建物の共同相続人に対する建物収去土地明渡請求訴訟は、相続人全員を被告としなければならない固有必要的共同訴訟にあたるか。
規範
土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求訴訟において、被告である建物所有者の共同相続人全員を被告とする必要はなく、いわゆる固有必要的共同訴訟には当たらない。
重要事実
土地所有者である被上告人が、建物所有者である被告Dに対し建物収去土地明渡を求めて提訴した。訴訟継続中にDが死亡し、共同相続人として妻A1、嫡出子A2・A3、さらに別の嫡出子Eおよび非嫡出子Fが存在した。しかし、受継手続はA1、A2、A3の3名のみによって行われ、訴訟が進行した。上告人らは、相続人全員が当事者となっていない手続の違法を主張した。
あてはめ
事件番号: 昭和41(オ)162 / 裁判年月日: 昭和43年3月15日 / 結論: 棄却
土地の所有者が、その所有権に基づいて、右地上にある建物の所有権を共同相続によつて取得した者らに対し、右建物の収去および土地の明渡を求める訴は、必要的共同訴訟ではないと解すべきである。
建物収去土地明渡請求は、各共同相続人がその持分に応じて負担する不可分な義務を履行させるものであり、実体法上の処分権が共同で行使される必要がある場合に当たらない。したがって、受継手続を了した一部の相続人(A1、A2、A3)との関係においてのみ審理・判決を行うことは、合一確定を要する固有必要的共同訴訟の性質に反せず、適法である。
結論
建物収去土地明渡請求訴訟は固有必要的共同訴訟ではないため、相続人の一部に対してのみ判決を言い渡すことに違法はない。
実務上の射程
建物の共同所有者(共同相続人)に対する請求は通常共同訴訟として扱われるため、一部の相続人に対する勝訴判決を得れば、その持分に応じた執行が可能となる。実務上、被告を特定する際の負担軽減に資する判例である。
事件番号: 昭和33(オ)288 / 裁判年月日: 昭和35年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物を共有して土地を不法占有する者は、共同不法占有者の一人として、他の共有者の有無にかかわらず土地全体を明け渡す義務を負う。この場合、判決の既判力が他の共有者に及ばないことは、当該共有者に対する明渡し請求の可否に影響しない。 第1 事案の概要:上告人は、訴外Dほか1名と本件建物を共有し、当該建物の…
事件番号: 昭和31(オ)814 / 裁判年月日: 昭和32年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地所有者が建物所有者とその賃借人に対し明渡しを求める訴訟は必要的共同訴訟ではなく、また使用貸借の期間満了に基づく土地明渡請求は、締結時の諸般の事情に照らし権利の濫用に当たらない。 第1 事案の概要:土地所有者である被上告人は、借主(D会)との間で使用貸借契約を締結し土地を貸し付けた。同土地上には…
事件番号: 昭和39(オ)1308 / 裁判年月日: 昭和40年7月23日 / 結論: 棄却
本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
事件番号: 昭和38(オ)371 / 裁判年月日: 昭和40年1月22日 / 結論: 棄却
地代家賃統制令による停止統制額のある土地を不法占有する者に対する損害賠償額は、該土地を新たに更地として賃貸することが予見される等の事情のもとでは、右停止統制額によらないで判定されてかまない。