必要でない。
昭和二二年法律第二四〇号による農地調整法改正以前における農地賃貸借合意解約に農地委員会の承認または知事の許可が必要か。
農地調整法(昭和22年法律240号による改正前)9条
判旨
昭和22年改正前の農地調整法下における農地賃貸借の合意解約において、行政庁の承認や許可は不要であるが、本件では実態として合意解約が成立していないと判断された。
問題の所在(論点)
昭和22年農地調整法改正前において、農地賃貸借の合意解約に農地委員会の承認等は必要か。また、本件において合意解約の成立が認められるか。
規範
昭和22年法律第240号による農地調整法の改正以前においては、農地の賃貸借を合意解約するにあたり、農地委員会の承認または知事の許可を要件とする法的規制は存在しない。したがって、当事者間の合意のみによって解約の効力が生じ、その農地が「小作地」の性質を失うこととなる。
重要事実
上告人(地主)は、昭和20年2月から3月の間に小作人らとの間で本件農地の賃貸借契約を合意解約したと主張した。しかし、昭和21年5月に旧D農地委員会が当事者双方の意見聴取や実情調査を行った際にも、合意解約の成立は確認されていなかった。原審は、上告人が小作人らから任意に農地の返還を受けた事実はないと認定し、本件買収計画の対象となる小作地であると判断した。上告人は、原審が「農地委員会の承認がないこと」を理由に合意解約を否定したのは法の解釈誤りであるとして上告した。
事件番号: 昭和25(オ)25 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の合意解約が一応適法に成立した場合であっても、その内容が正当なものとは認められない限り、当該合意解約を理由に農地の買収計画を排除することはできない。農地の集中を生じない場合であっても、適法な合意解約の存在のみによって遡及的な買収計画の策定が制限されるものではない。 第1 事案の概要:上告人と小…
あてはめ
法的には、当時の農地調整法下で合意解約に農地委員会の承認や許可は不要である。しかし、本件の事実関係を検討すると、昭和21年5月時点での農地委員会による調査においても合意解約の成立事実は確認されておらず、上告人が小作人らから任意に返還を受けた事実は認められない。すなわち、原審は「承認がないから解約が無効」としたのではなく、調査等の客観的事実に照らして「そもそも合意解約という事実が存在しなかった」と認定したものである。したがって、法解釈の誤りには当たらない。
結論
本件農地の賃貸借契約について合意解約が成立したとは認められず、本件農地を小作地として扱った買収計画は適法である。
実務上の射程
改正前農地法に関する歴史的な判例であるが、処分性や公法上の要件が問題となる場面で、行政庁の関与(承認・許可)が法律上義務付けられていない場合の私法上の行為の効力を考える際の参考となる。答案上は、当時の法令の不備を指摘しつつも、事実認定のレベルで合意の存否を厳格に判断した例として位置づけられる。
事件番号: 昭和30(オ)718 / 裁判年月日: 昭和33年3月7日 / 結論: 棄却
一 農地所有者の地位、職業、子の教育関係等を考慮すれば右所有者が村内に住所を有するに至るであろう時期が七年余の将来より更におくれるかも知れない状況にある場合は、その地主は自作農創設特別措置法第四条第三項にいわゆる「当該農地のある市町村の区域内に住所を有するに至る見込のあるもの」に該当しない。 二 農地賃貸借について農地…
事件番号: 昭和28(オ)241 / 裁判年月日: 昭和32年2月7日 / 結論: その他
自作農創設特別措置法第六条の二第二項第一号に該当する農地は、他の農地を遡及買収する場合でも在村地主の小作地保有面積の計算上小作地に算入することはできない。
事件番号: 昭和28(オ)307 / 裁判年月日: 昭和32年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の買収計画において、真実の所有者ではなく登記簿上の名義人を対象とした場合であっても、不服申立や出訴期間内の提起がない限り、その一事をもって当然に無効とはならない。 第1 事案の概要:政府が自作農創設特別措置法に基づき農地を買収した際、登記簿上の所有名義人を真実の所有者と誤認して買収計画を策…
事件番号: 昭和24(オ)155 / 裁判年月日: 昭和28年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法2条2項にいう「小作地」とは、正権原に基づく耕作者の地位を安定させる趣旨から、無権利者が耕作する土地はこれに含まれない。賃貸借が合意解除され消滅した後に、当初から賃貸人の承諾なく耕作していた転借人が占有する土地は、同法の小作地に該当しない。 第1 事案の概要:被上告人(賃貸人)…