自作農創設特別措置法第四七条の二が憲法第三二条に違反しないとする昭和二四年五月一八日大法廷判決(昭和二三年(オ)第一三七号、民集三巻六号一九九頁)の趣旨に徴し、右法規と同趣旨の行政事件訴訟特例法第五条は、憲法の同条規に違反しないものといわねばならない。
行政事件訴訟特例法第五条は憲法第三二条に違反するか。
行政事件訴訟特例法5条,憲法32条
判旨
行政処分に対する出訴期間を制限する規定は、裁判を受ける権利を保障した憲法32条に違反せず、結果として財産権の行使を制約することになっても憲法29条2項に違反しない。
問題の所在(論点)
行政処分の出訴期間を制限する法規定(旧自創法47条の2、旧行訴特例法5条)が、財産権の保障(憲法29条2項)および裁判を受ける権利(憲法32条)に違反するか。
規範
行政庁の違法な処分であっても、法的安定性の観点から一定の出訴期間を設けることは、裁判を受ける権利を不当に奪うものではなく、憲法の趣旨に反しない。また、これに伴う権利救済の制限は公共の福祉による合理的な制約といえる。
重要事実
上告人は、自作農創設特別措置法に基づく処分について、同法47条の2および行政事件訴訟特例法5条が定める出訴期間を徒過した。上告人は、これらの規定が違法な処分の取消しを不可能にするものであり、財産権を保障する憲法29条2項に違反すると主張して争った。
事件番号: 昭和34(オ)611 / 裁判年月日: 昭和37年1月19日 / 結論: 棄却
農地法第八五条第一項に掲げる処分により違法に権利を害されたとする者は、行政事件訴訟特例法第二条の定めるところに従い、右法条による訴願を経た後でなければ、出訴することが許されない。
あてはめ
最高裁は、先行する大法廷判決の趣旨を引用し、出訴期間の制限が憲法32条に違反しないことを確認した。その上で、出訴期間の徒過により処分の取消しを求められなくなる結果が生じるとしても、それは適正な手続の一環であり、憲法29条2項が要請する財産権の内容の法的規制として許容される範囲内にあると判断した。
結論
行政処分の出訴期間を制限する規定は憲法29条2項および32条に違反せず、期間徒過による訴えの排斥は正当である。
実務上の射程
行政事件訴訟法における出訴期間の規定(14条)の合憲性を支える基礎的な判断として機能する。また、手続的規定が実体法上の権利(財産権等)の行使を間接的に制約する場合であっても、その合理性が認められることを示す。
事件番号: 昭和38(オ)1399 / 裁判年月日: 昭和41年4月26日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法による宅地附帯買収および売渡の対象となつた二筆の宅地の各一部が第三者の賃借地であつたことが判明し、しかもその賃借地の境界が不明瞭なため、知事が全部の売渡処分を取消した場合につき、そのうち一筆についての取消処分は適法、他の一筆についての取消処分は違法と判断しても、判示の事情のもとにおいては、いずれも相…
事件番号: 昭和29(オ)550 / 裁判年月日: 昭和31年4月13日 / 結論: 棄却
昭和二四年法律第二一五号による農地調整法改正前においても、同法第四条によつて市町村農地委員会が行う農地等の所有権、賃借権等の設定、移転等の承認は同委員会の自由な裁量に委せられていたものと解すべきでない。
事件番号: 昭和23(オ)137 / 裁判年月日: 昭和24年5月18日 / 結論: 棄却
一 農地買収計画に定められた農地につき、所有権を主張する者は、買収計画に所有者と記載されていなくても、自作農創設特別措置法第七条によつて行政上の救済を求めることができる。 二 昭和二二年一二月法律第二四一号自作農創設特別措置法改正法律附則第七条は、憲法第三二条及び憲法第三九条に違反しない。
事件番号: 昭和30(オ)220 / 裁判年月日: 昭和33年4月25日 / 結論: 棄却
農地のいわゆる遡及買収に関する自作農創設特別措置法第六条の二、第六条の五の規定は憲法第二九条、同第三九条に違反しない