公序良俗違反にあたらない。
一 炭鉱会社が社宅建築のため社員の個人名義で住宅金融公庫から建築資金の融通を受ける行為と公序良俗違反の有無 二 社宅の使用関係に借家法の適用がないとされた事例
住宅金融公庫法(昭和28年法律63号附則2項による改正前)17条1項,住宅金融公庫法(昭和29年法律87号による改正前)18条,民法90条,借家法1条の2
判旨
会社が社員名義で住宅金融公庫から融資を受けて社宅を建築した場合、実質的な資金負担や管理状況に基づき会社が所有権を取得するとともに、当該使用関係は借家法の適用を受けない特別な福利厚生目的の関係である。
問題の所在(論点)
1. 社員名義で建築された社宅の所有権は、実質的な資金負担者である会社に帰属するか。2. 社員身分を前提とする低廉な社宅使用関係に借家法の適用があるか。
規範
建物の所有権帰属は、建築資金の負担、設計・建築の主導権、維持管理費用の支払等の実態に基づいて判断される。また、会社の社員たる身分を前提とする社宅の使用関係は、通常の賃貸借ではなく、福利厚生施設としての特別な利用関係と解され、借家法の適用を排除し得る。
重要事実
会社が社員(上告人)の名義で公庫融資を受け、不足分を会社が負担して社宅を建築した。設計の一部に社員の希望は反映されたが、請負契約や融資返還、固定資産税・火災保険料の支払はすべて実質的に会社が行っていた。社員は退職後も建物を占拠したが、在職中に支払っていた社宅料は極めて低廉で、社員身分の喪失により使用権限も消滅するとの約定があった。
事件番号: 昭和38(オ)529 / 裁判年月日: 昭和39年10月27日 / 結論: 破棄差戻
株主が株金払込のために他より借り受けた借入金債務につき会社自体が弁済の責に任ずることは、異例に属するから、これに伴う求償関係について何ら審理を尽さず、漫然右事実を認定した点に理由不備の違法がある。
あてはめ
1. 会社が融資返還や公租公課をすべて負担している実態から、本件建物の所有権は原始的に会社に帰属する。公庫法違反の有無にかかわらず、所有権取得の効力は妨げられない。2. 社宅料が名目的で低廉であること、社員身分の喪失を終了条件としていることに鑑みれば、本件は純粋な賃貸借ではなく会社の福利厚生の一環であり、借家法の保護を及ぼすべき性質を欠く。
結論
本件建物の所有権は会社に帰属し、借家法の適用はないため、社員の身分を失った上告人の占有は不法占拠となり、建物の明け渡しおよび損害金の支払義務を負う。
実務上の射程
他人名義の建築における所有権帰属の判断基準として有用である。また、社宅の使用関係について、雇用契約に附随する特殊な関係であることを理由に借家法の適用を否定する際の重要判例であり、解雇に伴う社宅明渡請求の場面で活用できる。
事件番号: 昭和47(オ)1121 / 裁判年月日: 昭和49年3月19日 / 結論: その他
賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。
事件番号: 昭和37(オ)1410 / 裁判年月日: 昭和39年2月13日 / 結論: 棄却
所有権転移仮登記の権利者が、仮登記後所有権取得登記を経た第三者に対し、右登記の抹消登記手続を請求した場合、裁判所が、仮登記に基づく本登記手続につき承諾を命ずる判決をしても、民訴法第一八六条に違反しない。
事件番号: 昭和32(オ)787 / 裁判年月日: 昭和35年12月27日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】会社の不動産を一時的に個人名義に移し、直ちに返還する旨の口頭約束は、他人の面目を立てるという動機のみでは取引通念上不自然であり、特段の事情がない限り、安易に契約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告会社の旧社長であった上告人と新社長との間で、決算書から脱漏していた本件建物の所有権…