与信契約および継続的保証契約において極度額、責任限度額および期間の定めがない場合には、保証人は、取引慣行ならびに信義則に照らして相当と認められる期間が経過した後は、保証契約の解約告知権を取得するものと解すべきである。
継続的保証契約と保証人の解約告知権。
民法446条,民法540条
判旨
極度額、責任限度額および期間の定めのない継続的保証契約は有効であり、保証人は信義則に照らして相当と認められる期間経過後に解約告知権を取得するにとどまる。主たる債務者が債務を負担する以前に解約がなされない限り、保証人は個別的保証がなくとも当該債務について保証責任を負う。
問題の所在(論点)
極度額や期間の定めのない包括的な継続的保証契約(いわゆる無制限の根保証)の有効性と、個別の債務成立時に改めて保証の意思表示が必要か、および保証人による解約の可否が問題となる。
規範
極度額、責任限度額および期間の定めのない与信契約および継続的保証契約(根保証)は有効である。この場合、保証人は取引慣行および信義則に照らして相当と認められる期間が経過した後は、将来に向かって保証契約を解除する「解約告知権」を取得すると解すべきである。したがって、適法な解約がなされない限り、主債務者が負担する個別の債務について別途の個別的保証がなくとも、保証人は保証責任を免れない。
重要事実
被上告人(組合)は、訴外Dとの間で手形貸付等の融資を行う与信契約を締結し、上告人は同日、Dの債務について連帯保証した。この与信契約および保証契約には、極度額、責任限度額、および期間の定めがなかった。その後、被上告人はDに対し手形貸付を行い債権を取得したが、Dが支払不能となったため、上告人に対し連帯保証債務の履行を求めた。
あてはめ
本件保証契約は、極度額や期間の定めがないものの直ちに無効とはならず、有効に成立している。また、保証人が責任を免れるためには解約告知権を行使する必要があるが、本件において主たる債務者が手形債務を負担する以前に、上告人が保証契約を解約した事実は認められない。さらに、継続的保証契約が有効である以上、主債務者が負担する個々の具体的な債務について、その都度保証人の個別的な保証が必要であると解すべき根拠はない。
結論
本件継続的保証契約は有効であり、解約告知がなされていない以上、上告人はDの負担した手形債務について連帯保証責任を負う。
実務上の射程
契約締結時に限度額や期間を定めなかった根保証であっても、直ちに公序良俗違反等で無効とはならないことを示した。もっとも、保証人保護の観点から「相当期間経過後の解約告知権」を認めており、答案上は信義則による責任制限の法理(解約権のほか、責任限度の制限等)と併せて検討すべき射程を有する。なお、現在の民法465条の2等の個人根保証契約に関する規定との適用関係には注意を要する。
事件番号: 昭和47(オ)554 / 裁判年月日: 昭和48年3月1日 / 結論: 棄却
期間の定めのない継続的保証契約の締結後、三年余を経、主債務者の経営状態が悪化し、その所有の担保物件も他に売却されたのちに、金融機関である債権者が、保証人の意向を打診しないで、債務者に対し新たな貸付をしたなど判示の事情がある場合には、債権者が保証人に対し右貸付について保証債務の履行を求めるのは、信義則に反し権利の濫用であ…