期間の定めのない継続的保証契約の締結後、三年余を経、主債務者の経営状態が悪化し、その所有の担保物件も他に売却されたのちに、金融機関である債権者が、保証人の意向を打診しないで、債務者に対し新たな貸付をしたなど判示の事情がある場合には、債権者が保証人に対し右貸付について保証債務の履行を求めるのは、信義則に反し権利の濫用であつて許されない。
継続的保証契約に基づく保証人に対する債務履行の請求が許されないとされた事例
民法1条,民法446条
判旨
期間の定めのない継続的保証契約において、債権者が主債務者の経営悪化や担保物件の逸失を認識し得る状態にありながら、保証人に無断で漫然と貸し付けを行った場合、その保証債務の履行請求は信義則に反し許されない。
問題の所在(論点)
期間の定めのない継続的保証契約において、債権者が主債務者の信用状態の著しい悪化や担保の喪失を知り得たにもかかわらず、保証人に無断で追加融資を行った場合、保証債務の履行請求は認められるか。
規範
期間の定めのない継続的保証契約に基づく保証債務の履行請求であっても、契約締結後の事情の変化、債権者の注意義務違反、保証人への情報提供の有無等の具体的事情に照らし、当該請求を認めることが酷な場合には、信義則(民法1条2項)に反し、権利の濫用(同条3項)として許されない。
重要事実
保証人と信用金庫との間で期間の定めのない継続的保証契約が締結された。その後3年余りが経過し、主債務者である会社の経営状態が悪化した。さらに、本件貸付けの担保物件が第三者に売却され搬出されるなど、担保価値が失われた。信用金庫は金融機関としてこれらの事情を了知し得る状態にありながら、保証人の意向を確認することなく、漫然と本件手形貸付を実行した。
あてはめ
まず、契約締結から3年という相当期間が経過し、主債務者の経営悪化という事情変更が生じている。次に、担保物件の搬出という債権回収を困難にする重大な事実を信用金庫は認識し得たにもかかわらず、金融機関として当然なすべき注意を怠っている。さらに、保証人の意向を打診することなく独断で貸し付けを継続している。このような債権者の不誠実な対応により保証人の負担を一方的に拡大させることは、保証契約の基礎となる信頼関係を破壊するものといえる。
結論
信用金庫が保証人に対して保証債務の履行を求めることは、信義則に反し権利の濫用にあたるため、認められない。
実務上の射程
継続的保証(根保証)において保証人の責任を合理的な範囲に制限するための判例である。現行法下の極度額の定めがある根保証(民法465条の2等)においても、極度額内であれば無制限に請求できるわけではなく、本判例の信義則理論によって責任制限を主張する余地が残されている。
事件番号: 昭和37(オ)1260 / 裁判年月日: 昭和38年9月6日 / 結論: 棄却
与信契約および継続的保証契約において極度額、責任限度額および期間の定めがない場合には、保証人は、取引慣行ならびに信義則に照らして相当と認められる期間が経過した後は、保証契約の解約告知権を取得するものと解すべきである。