責任債務額および期間の定めのない保証契約も無効ではない。
根保証契約の効力。
民法446条
判旨
手形金支払債務を主債務とする保証契約において、主債務者の債務額や債務負担期間が契約時に必ずしも一義的に明確でなかったとしても、直ちに当該保証契約が無効となるわけではない。
問題の所在(論点)
手形金支払債務を主債務とする民法上の保証契約において、債務額や期間が契約時に具体的に特定されていない場合に、当該契約は有効か。
規範
民法上の保証契約が成立するためには、主債務が特定されている必要があるが、契約時点で主債務の額や存続期間が具体的な数値として完全に確定していることまでは要しない。公序良俗に反するような過大な負担を強いる特段の事情がない限り、将来発生すべき債務の範囲が合理的に特定可能であれば、その契約は有効である。
重要事実
上告会社が負担する手形金支払債務について、上告人Aが民法上の保証契約を締結した。これに対し上告人Aは、当該保証契約の対象となる主債務の額および債務負担の期間が不明確であるとして、契約の無効を主張した。第一審および原審は保証債務の成立を認めたため、上告人が最高裁に上告した事案である。
あてはめ
本件における保証契約は、上告会社の手形金支払債務を対象とする民法上の保証であり、手形法上の保証ではない。上告人は債務額や期間が不明確であることを理由に無効を主張するが、手形金債務という性質上、主債務の内容は手形面等により事後的に特定可能である。したがって、契約時にこれらの要素が確定していないからといって直ちに公序良俗等に反して無効となるような独自の法的根拠は認められない。原審が証拠に基づき保証契約の成立を認めた判断は、経験則や論理則に照らして正当である。
結論
主債務者の債務額や期間が不明確であるとしても、直ちに保証契約が無効になることはなく、本件保証契約は有効である。
実務上の射程
根保証や継続的取引の保証において、主債務の範囲が限定的であれば、額や期間が契約書に明記されていなくても有効性を認める実務上の指針となる。ただし、包括根保証禁止の法理(民法465条の2等)が制定される前の判例である点には留意が必要である。
事件番号: 昭和37(オ)1260 / 裁判年月日: 昭和38年9月6日 / 結論: 棄却
与信契約および継続的保証契約において極度額、責任限度額および期間の定めがない場合には、保証人は、取引慣行ならびに信義則に照らして相当と認められる期間が経過した後は、保証契約の解約告知権を取得するものと解すべきである。