会社更生法に基き、「会社は某日以前の原因に基いて生じた一切の金銭債務を弁済してはならない」旨の仮処分決定がなされた場合においても、債権者は、右会社およびその保証人の双方に対し、無条件の給付判決を求めることができる
会社更正法に基き、金銭債務の支払を禁ずる旨の仮処分決定をうけた会社に対し、金銭債権の無条件給付を求める訴の当否
会社更正法39条,民訴法226条
判旨
将来発生すべき不特定の債務を目的とする保証契約において、債務の種類が「既存の又は将来負担することあるべき約束もしくは為替手形上の債務」と指定されていれば、主債務は十分に特定されており、発生時期や限度額の定めがなくとも公序良俗に反せず有効である。
問題の所在(論点)
将来の不特定債務を包括的に保証する契約において、発生時期や限度額の定めがない場合、主債務の特定を欠くものとして公序良俗に反し無効となるか。また、主債務者に保全処分がなされたことが保証債務の履行に影響するか。
規範
将来の不特定債務を主債務とする保証契約(根保証)の有効性は、主債務の内容が特定されているか否かによって決せられる。具体的には、債務の種類(発生原因等)が指定されていれば主債務は特定されていると認められ、現実の発生時期や最低限度額の定めがなくても、直ちに契約が無効となったり公序良俗に反したりすることはない。
重要事実
上告人らは、上告会社(主債務者)が被上告組合に対して負担する「既存の又は将来負担することあるべき約束もしくは為替手形上の債務」を連帯保証した。この保証契約には、将来発生する主債務の具体的な発生時期や、保証の最低限度額に関する明文の規定はなかった。その後、本件約定に基づき手形債務が現実化したが、上告人らは主債務の特定を欠き公序良俗に反するなどと主張して、保証債務の履行を拒んだ。
あてはめ
本件保証の対象は「既存の又は将来負担することあるべき約束もしくは為替手形上の債務」とされており、債務の種類が限定されているため、主債務は十分に特定されている。主債務の現実に発生する時期や限度額の合意は、特定のための必須要件ではなく、これらがないからといって公序良俗に反するとはいえない。また、主債務者に対し保全処分がなされたとしても、保証債務の附従性を理由に保証人への取立てが禁止される根拠はない。
結論
本件保証契約は有効であり、上告人らは連帯保証債務を免れない。上告棄却。
実務上の射程
民法改正前の根保証に関する判例であるが、特定性に関する判断枠組みは現行法下でも重要である。現在は個人根保証契約について極度額の定め(民法465条の2)が義務付けられているが、本判決が示した「債務の種類の特定」という視点は、法人が保証人となる場合や、特定の継続的取引から生じる将来債務の保証の有効性を検討する際の基礎となる。
事件番号: 昭和29(オ)737 / 裁判年月日: 昭和31年10月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】肩書付きで署名・捺印された書面が、個人の保証義務を認める趣旨であるか否かは、書面の形式のみならず、その作成に至る経緯等の事実関係を総合して判断されるべきである。 第1 事案の概要:上告人会社と訴外D防水布株式会社との手形取引に際し、D社の専務取締役であった被上告人が「誓約書」に捺印した。この誓約書…