他に連帯保証人がある旨の債務者の言を誤信した結果、連帯保証をした場合は、縁由の錯誤であつて、当然には要素の錯誤ではない。
他に連帯保証人がある旨の債務者の言を誤信して連帯保証をした場合は要素の錯誤か
民法95条,民法第3編第1章第3節第4款(保証債務)
判旨
保証契約において、他に連帯保証人が存在するかどうかは、特約がない限り単なる契約締結の動機(縁由)にすぎず、当然には契約の内容とならない。
問題の所在(論点)
数人の保証人がいることを前提に保証契約を締結した場合において、他の保証人が存在しないことが保証契約の要素の錯誤や契約の不成立を導くか。すなわち、他者の保証参加が当然に保証契約の内容となるか。
規範
保証契約は保証人と債権者との間に成立する契約であり、他に連帯保証人が存在するか否かは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎない。したがって、他に連帯保証人が存在することを保証契約の内容とするためには、その旨の特約(合意)があることを要する。
重要事実
上告人は債権者との間で連帯保証契約を締結したが、その際、他にも連帯保証人が存在すると思っていた。しかし、実際には他に連帯保証人はおらず、上告人は「他に連帯保証人が存在することが保証契約の内容となっていた」と主張して、保証債務の効力を争った。
あてはめ
本件において、上告人は訴外人が連帯保証人になることを前提としていた。しかし、保証契約は債権者と個々の保証人との間の契約である以上、他の保証人の存在は通常は動機にすぎない。本件では、訴外人も連帯保証人となることが特に保証契約の内容とされた旨の主張・立証がなされていない。そのため、他者の保証がなかったとしても、それは単なる縁由の不一致にとどまり、契約の効力に影響を与えない。
結論
他に連帯保証人がいなかったとしても、その旨の特約がない限り、保証契約は有効に成立する。
実務上の射程
保証人の1人が、他の保証人がいないことを理由に民法95条の錯誤取消し(旧法下の無効)を主張する際の反論として機能する。答案上は、動機の表示(明示または黙示)による契約内容化の有無が主戦場となることを示す判例として引用すべきである。
事件番号: 昭和33(オ)643 / 裁判年月日: 昭和35年4月12日 / 結論: その他
一 約束手形の補箋の表面になした単なる署名は保証と看做すべきである。 二 約束手形の共同振出を原因として手形金の請求をしている場合に、手形保証を理由として請求を認容したときは、当事者の申立てない事項について判決をした違法がある。