主債務者たる連帯債務者の責任と連帯保証人の責任とでは、その発生の法律要件を異にし、両者に対する請求は互に訴訟物を異にするから、連帯債務者に対する請求のなかに連帯保証人としての請求が含まれると解することはできない。
連帯債務者に対する請求を連帯保証人に対する請求として認容することの可否。
民訴法186条
判旨
金銭消費貸借の主債務者としての責任と連帯保証人としての責任は、発生要件および訴訟物を異にするため、前者の請求に後者の請求が当然に含まれるとは解されない。したがって、主債務者としての責任のみを追及している場合に、裁判所が連帯保証責任の有無を判断しなくても処分権主義に反しない。
問題の所在(論点)
金銭消費貸借の主債務者としての責任を追及する訴えの中に、当然に連帯保証人としての責任を追及する請求が含まれるといえるか。訴訟物の同一性と処分権主義(民事訴訟法246条)の限界が問題となる。
規範
金銭消費貸借契約における主(連帯)債務者の責任と連帯保証人の責任は、その発生すべき法律要件(民法587条等および同法446条等)および訴訟物を異にする。したがって、原告が主債務者としての責任を追及して金員の支払を求めている訴訟において、当然に連帯保証人としての請求が含まれるものと解することはできない。
重要事実
上告人は、被上告人らに対し、金銭消費貸借契約に基づく主(連帯)債務者としての責任を追及して金員の支払を求める訴えを提起した。上告人は、第一審および第二審を通じて、終始一貫して主債務者としての責任のみを主張しており、連帯保証人としての責任については予備的請求や主張の追加を行っていなかった。原審が連帯保証責任の有無について判断を示さなかったことに対し、上告人はこれが違法であるとして上告した。
あてはめ
本件において、上告人は第一審から第二審に至るまで、被上告人らに対して「主(連帯)債務者としての責任」のみを終始一貫して追及している。主債務と保証債務は、発生原因たる契約が別個であり、その要件および訴訟物も異なる性質のものである。したがって、上告人が主債務の履行を求めている以上、裁判所が審判の対象となっていない連帯保証責任について判断を下さなかったことは、申立ての範囲外を審理しないという適法な手続に合致する。
結論
主債務者としての請求の中に連帯保証人としての請求が当然に含まれるとはいえない。したがって、原審が連帯保証責任について判断を加えなかったことに審理不尽や理由不備の違法はなく、正当である。
実務上の射程
訴訟物の特定の厳格性を示す判例であり、処分権主義の観点から重要である。答案上は、債務の種類が異なる場合には別個の訴訟物となることを論証する際に引用する。主目的たる請求が認められない場合に備え、保証責任を追及したいのであれば、あらかじめ予備的併合や原因の追加等を行う必要があることを示唆する実務上極めて重要な指針である。
事件番号: 昭和36(オ)1357 / 裁判年月日: 昭和37年11月1日 / 結論: 棄却
債権者と債務者間との間に数口の債務がある場合に債務者のなす給付をどの債務の弁済に充当するかは両者間の契約により定めうるところであり、これにより弁済充当のなされなかつた債務の連帯保証人が免責を受けないことになつてもやむを得ない。