調停による売買契約が代金不払によつて解除されても調停による訴訟終了の効果に影響を及ぼさないとされた事例。
判旨
調停による合意において、訴訟終了の合意と新たな売買契約が併存する場合、当事者が売買契約の解除が訴訟終了の効果に影響を及ぼさない趣旨で合意したときは、売買契約の不履行により解除されても訴訟終了の効果は維持される。
問題の所在(論点)
調停の一部(売買契約部分)が債務不履行により解除された場合、その失効が調停の他の部分(訴訟終了の合意)に当然に波及し、調停全体が無効となるか。
規範
調停や和解において複数の合意事項が含まれる場合、一方の義務不履行が他方の効力に影響するか否かは、合意の趣旨(公法上の訴訟終了の合意と私法上の契約の相互関係)を個別に解釈して決すべきである。当事者が一方の契約関係の解消が訴訟終了の効果に影響を与えない趣旨で合意したものと認められる場合には、一部の不履行が全体の失効を招くことはない。
重要事実
上告人と被上告人は、土地所有権をめぐる訴訟において調停を成立させた。その内容は、(1)上告人が土地所有権が被上告人に帰属することを認めて訴訟を終了させること、(2)被上告人が上告人に対し、当該土地及び建物を代金分割払いで売り渡すこと、を柱とするものであった。その後、上告人の代金不払を理由に被上告人が売買契約を解除したため、調停全体(訴訟終了の効果を含む)が失効したかが争われた。
あてはめ
本件調停は、上告人が被上告人の所有権を認めて訴訟を終了させることを独立した目的としていた。売買契約は訴訟終了に伴い「あらたに」締結されたものであり、事案の性質上、代金不払により売買が解除されても訴訟終了の効果を維持させる趣旨でなされたと認められる。したがって、売買契約の不履行という事実があっても、それとは別個の訴訟終了の合意の効力が否定されるものではないと評価される。
事件番号: 昭和24(オ)275 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】前訴で確定した所有権確認判決の既判力は、その原因となった売買契約の無効を主張して所有権を争う後訴にも及ぶ。そのため、前訴の事実審口頭弁論終結前に存在した無効事由(強行法規違反・錯誤・認可欠缺等)を後訴で主張することは、既判力の遮断効により許されない。 第1 事案の概要:被上告人らが上告人を被告とし…
結論
売買契約の解除は、本件調停による訴訟終了の効果に影響を及ぼさない。したがって、調停全体の失効を前提とする上告人の主張は採用できず、訴訟終了の効果は維持される。
実務上の射程
和解・調停の可分性に関する判断。民法上の和解(695条)の性質を有する合意において、複数の要素が不可分一体か否かは当事者の合理的な意思解釈の問題となる。司法試験においては、和解の解除による訴訟復活の可否を論じる際、合意内容が「訴訟を終了させる独立した意思」を含むかどうかのあてはめの指標として活用できる。
事件番号: 昭和38(オ)311 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
現に耕作の目的に供されている土地であつても、不法に開墾されたものであり、開墾の経緯について原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、農地法第二条第一項にいう農地にあたらないと解するのが相当である。
事件番号: 昭和38(オ)936 / 裁判年月日: 昭和40年11月25日 / 結論: 破棄差戻
手附倍戻しにより売買契約が解除されて終了したと主張して右売買契約が存在しないことの確認を求める訴は、文言どおり解すれば、過去の法律関係の確認を求めるのと異なるところがないが、右売買契約が解除された結果生ずべき現在の権利または法律関係について直接に確認または給付を求める趣旨が窺えないでもないから、原審としては、右請求につ…
事件番号: 昭和32(オ)923 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
一 知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできない。 二 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は条件を成就したものとみなすことはできない。
事件番号: 昭和27(オ)948 / 裁判年月日: 昭和29年5月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未成年者の法定代理人が契約の「解除」を申し入れた場合であっても、諸般の事情に照らし、その表示に契約を遡及的に消滅させる趣旨が含まれていると認められるときは、これに「取消し」の意思表示が包含されていると解するのが相当である。 第1 事案の概要:未成年者である被上告人と上告人との間で本件売買契約が締結…