判旨
裁判官が更迭された場合に、口頭弁論の更新の手続を経ることなく弁論を終結して言い渡された判決は、法律に従って構成された裁判所によるものとはいえず、違法である。
問題の所在(論点)
裁判官の交迭があったにもかかわらず、弁論の更新手続を経ずに弁論を終結し判決を言い渡した場合の適法性、およびそれが「法律に従って構成された裁判所」による裁判といえるか。
規範
裁判官の更迭があった場合には、適法に弁論の更新(民事訴訟法249条2項)がなされなければならない。この手続を欠いたまま弁論を終結し判決を言い渡すことは、適法な判決裁判所による裁判とは認められず、絶対的控訴理由ないし上告理由(同法312条2項1号参照)に該当する。
重要事実
原審の第6回口頭弁論において、従前の審理に関与していなかった裁判官の交迭があった。しかし、記録上、民事訴訟法が定める弁論の更新手続が適法に行われた形跡がないまま、同期日に弁論が終結され、判決が言い渡された。
あてはめ
本件では、原審第6回口頭弁論において裁判官の交迭が生じている。直接主義(民訴法249条1項)の観点から、判決をする裁判官は、原則として自ら弁論を聴取しなければならず、交代した場合には更新手続が必要となる。しかし、本件記録によれば更新の形跡がないまま終結に至っており、手続的瑕疵がある。したがって、当該判決は適法な構成を欠く裁判所によってなされたものと評価せざるを得ない。
結論
原判決は適法な判決裁判所によってなされたものではないため、破棄を免れない。事案を仙台高等裁判所に差し戻すべきである。
実務上の射程
民事訴訟における直接主義の帰結として、裁判官交代時の更新手続が必須であることを示す。実務上・答案上は、弁論の更新がなされていない場合に「法律に従って構成された裁判所によらないこと」(民訴法312条2項1号)という絶対的上告理由を構成する際の根拠となる。
事件番号: 昭和39(オ)21 / 裁判年月日: 昭和39年9月18日 / 結論: その他
裁判官の更迭後更新手続がなされず判決された場合は、民訴法第三九五条第一項第一号の上告理由にあたる。
事件番号: 昭和27(オ)937 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の交代があった場合における弁論の更新手続きが適法に履践されているのであれば、当該訴訟手続きに違法はなく、上告理由は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、原審における裁判官の交代に伴う弁論の更新手続きに不備がある旨を主張して上告を申し立てた。具体的にどのような不備があったかについては、判…
事件番号: 昭和36(オ)366 / 裁判年月日: 昭和38年10月15日 / 結論: 棄却
判決言渡前に関与裁判官の転補があつても、右転補以前に評議が成立していたと認められるかぎり、判決成立過程にかしはない。
事件番号: 昭和33(オ)1072 / 裁判年月日: 昭和36年4月27日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭があったにもかかわらず弁論の更新がなされていない場合、当該判決は基本となる口頭弁論に関与しない裁判官が判決に関与したものとして、民事訴訟法の規定に違反し、破棄を免れない。 第1 事案の概要:原審における本件訴訟手続において、裁判官の更迭があった。しかし、訴訟記録上の口頭弁論調書を確認し…