裁判官の更迭後更新手続がなされず判決された場合は、民訴法第三九五条第一項第一号の上告理由にあたる。
裁判官の更迭後更新手続がなされなかつた場合と民訴法第三九五条第一項第一号。
民訴法395条1項1号
判旨
裁判官の更迭があった場合に、適法な弁論の更新手続を経ないで更迭後の裁判官によりなされた判決は、法律に従って判決裁判所を構成しなかったものとして、民訴法306条(旧395条1項1号)の絶対的上告理由となる違法がある。
問題の所在(論点)
裁判官の更迭があったにもかかわらず、適法な弁論の更新手続を欠いたままなされた判決の効力(民訴法249条2項、同306条1号との関係)。
規範
裁判官の更迭(構成の変更)があった場合には、口頭弁論の更新手続を経ることを要し、これを欠いたまま更迭後の裁判官によってなされた判決は、法律に従って構成された裁判所による判決とは認められず、絶対的上告理由に該当する違法な判決となる。
重要事実
原審の第5回口頭弁論期日までにおいて、裁判官3名の構成(岩崎、後藤、白井)のもとで実質的な弁論および証拠調べが行われた。しかし、第6回期日以降、裁判長の岩崎を除く2名の裁判官が更迭された。その後の第6回および第7回(最終)口頭弁論期日の調書において、当事者から従前の口頭弁論の結果を陳述した旨の記載がなく、弁論の更新手続がとられた形跡が認められなかった。
あてはめ
本件では、判決の基礎となる弁論および証拠調べに参加していない新任の裁判官2名が、従前の弁論結果を把握するための「弁論の更新」を経ることなく最終的な判断を下している。これは口頭主義・直接主義を担保するための手続的保障を欠くものであり、口頭弁論調書上も更新手続の実施が確認できない以上、法律に従って構成された裁判所による適法な判決とはいえない。
結論
適法な弁論の更新手続を欠いた原判決には、民訴法306条(旧395条1項1号)の絶対的上告理由があるため、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、原審に差し戻すべきである。
実務上の射程
裁判官の更迭時における弁論更新の欠如が、形式的な構成不備として絶対的上告理由になることを明示した。実務上は調書への記載漏れが致命的となるため、更新手続の履践(民訴規則151条)を厳格に求める射程を持つ。答案上は、直接主義の観点から「裁判所の構成の違法」を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和37(オ)577 / 裁判年月日: 昭和38年3月15日 / 結論: 棄却
書証の成立について自白があるとした判決は、その自白が撤回され自白の拘束力がないとしても、他の証拠によつても右成立を認めうるとしている以上、判決の結論に影響を及ぼすべき違法をきたさない。
事件番号: 昭和39(オ)690 / 裁判年月日: 昭和41年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭後に弁論の更新がなされないまま訴訟手続が進められたとしても、その後の最終口頭弁論期日において更迭後の裁判官構成のもとで従前の口頭弁論の結果が陳述された場合には、手続上の瑕疵は治癒される。 第1 事案の概要:本件訴訟の控訴審において、第9回口頭弁論期日後に裁判官の一部が更迭されたが、続く…