判旨
所有権確認及び所有権移転登記抹消を請求する場合において、登記名義人が第三者との間の売買を登記原因としているときであっても、当該第三者を共同被告とする必要はない。
問題の所在(論点)
登記抹消請求訴訟において、登記原因となった法律関係の当事者(第三者)を被告に加える必要があるか。すなわち、当該訴訟が固有必要的共同訴訟(民事訴訟法40条1項)に該当するか。
規範
特定の登記の抹消を請求する場合において、被告となるべき者は当該登記の名義人である。当該登記に至る原因行為(売買等)に第三者が介在している場合であっても、登記の抹消という法的な効果を求める訴えにおいては、その第三者を共同被告とすることは必要とされず、固有必要的共同訴訟には当たらない。
重要事実
被上告人(原告)は、本件建物が自己の所有であることを確認し、上告人(被告)名義の所有権移転登記の抹消を求めて提訴した。上告人は、自身への登記名義の原因が第三者Dとの売買に基づくものであることを理由に、Dを共同被告としなければならない(固有必要的共同訴訟である)旨を主張して争った。
あてはめ
本件における請求の趣旨は、本件建物の所有権確認と、上告人名義の所有権移転登記の抹消を求めるものである。登記抹消請求は、現在の登記名義人に対してその登記を失効させる手続を求めるものであり、その登記原因が第三者Dとの売買であったとしても、判決によって直接的に法的地位に影響を受けるのは登記名義人である上告人のみである。したがって、Dを被告に加える必要はなく、上告人のみを被告として訴えを提起することは適法である。
結論
上告人名義の登記の原因が第三者との売買であっても、両者を共同被告とする必要はない。上告人のみを被告とする訴えは適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
登記抹消請求が固有必要的共同訴訟に該当しないことを示した典型例である。実務上、原因無効を理由とする登記抹消請求では、登記名義人さえ被告にすれば足りることを確認する際に用いる。ただし、共有名義の登記を抹消する場合など、他の法律関係が絡む場合の必要的共同訴訟の成否とは区別して整理する必要がある。
事件番号: 昭和34(オ)627 / 裁判年月日: 昭和35年8月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地所有権確認の訴えにおいて行政庁は被告適格を有さず、また、所有権に基づく登記抹消請求は登記簿上の権利者を被告とすべきであって、登記名義人でない国に対し行政庁を介した抹消手続を求めることはできない。 第1 事案の概要:上告人(原告)らは、本件土地の所有権が自己にあることを主張し、被上告人である国に…
事件番号: 昭和34(オ)1279 / 裁判年月日: 昭和36年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の所有権が転々譲渡された場合、前主(中間者)は後主に対して登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者には該当しないため、後主の登記が中間省略登記であってもその無効を主張できない。 第1 事案の概要:本件建物の所有権は、上告人からD実業株式会社へ、同社から再び上告人へ、上告人から訴外Eへ、そ…
事件番号: 昭和38(オ)1154 / 裁判年月日: 昭和39年7月24日 / 結論: その他
甲名義の所有権保存登記がなされた甲所有の建物について、二重に乙名義の所有権保存登記がなされ、次いで、甲名義の登記が不法に抹消された後に、丙が乙名義の登記に基づき右建物の所有権取得登記を経由した場合、丙は、甲名義の登記の抹消回復登記につき「登記上利害ノ関係ヲ有スル第三者」に当らない。