判旨
国が自作農創設特別措置法に基づき農地を買収し売渡した事実がある以上、その買収売渡手続の動機が何であっても、当該農地には農地法15条の規定が適用される。
問題の所在(論点)
国による農地の買収および売渡しの手続が完了している場合において、その手続の「動機」を理由に、農地法15条(農地の権利移動の制限等)の適用の有無が左右されるか。
規範
行政処分(農地の買収・売渡し)が法令(旧自創法)に基づき一応の形を整えてなされた以上、その動機や経緯に不適切な点があったとしても、客観的に処分が行われた事実が認められる限り、当該農地については農地法上の権利移転制限等の規定が適用される。
重要事実
国が昭和22年10月2日、旧自作農創設特別措置法に基づき、訴外Dから本件農地を買収し、これを上告人(買受人)に対して売渡した。この買収・売渡手続自体については当事者間に争いがない。しかし、上告人は当該買収が無効である旨を主張し、農地法15条の適用を否定しようとした。
あてはめ
本件では、国が旧自創法に基づきDから農地を買収し、上告人に売渡したという事実について争いがない。上告人は買収無効を主張するが、原審において買収令書は上告人に適法に送達されたと認定されており、手続は客観的に存在している。そうであれば、その手続に至る動機の如何にかかわらず、本件農地が「農地」として国の行政処分の対象となった事実は動かない。したがって、客観的な処分の存在に基づき、当然に農地法15条の適用を受けるものと解される。
結論
本件農地には農地法15条の適用がある。買収売渡手続の動機は、同条の適用の成否を左右しない。
実務上の射程
行政処分の外形的な効力が存続している限り、その処分を前提とした後続の法的効果(本件では農地法15条の適用)は認められるという、公定力や処分の有効性前提の考え方を農地法の文脈で示したものである。
事件番号: 昭和36(オ)736 / 裁判年月日: 昭和37年1月19日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第五条五号の事由ありと主張した事案において、同条四号の事由に該当するとの主張があるとしての判断をしなかつたとしても違法はない。
事件番号: 昭和31(オ)235 / 裁判年月日: 昭和32年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地委員会は、遡及買収申請に資格上の瑕疵がある場合であっても、自創法6条の5に基づき職権で買収計画を定めることができるため、当該買収処分が当然無効になることはない。 第1 事案の概要:上告人とDとの間には農地の賃貸借契約が存在しており、当該契約は適法に解約されていなかった。その後、Eが当該農地につ…
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
事件番号: 昭和35(オ)526 / 裁判年月日: 昭和36年5月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟において、処分庁は処分の適法性を基礎付ける法律要件について主張立証責任を負うが、相手方が争わない事項についてまで主張立証を尽くす必要はない。また、一審・原審において主張しなかった新たな事実関係に基づく違法事由を、上告審で主張することは許されない。 第1 事案の概要:上告人(所有者…