自作農創設特別措置法第五条五号の事由ありと主張した事案において、同条四号の事由に該当するとの主張があるとしての判断をしなかつたとしても違法はない。
当事者の主張しない事項につき判断しなかつたとされた事例
民訴法349条,民訴法186条
判旨
自作農創設特別措置法に基づく買収処分において、対象土地が土地区画整理の施行区域内にある等の事情があっても、直ちに「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当し買収が除外されるわけではない。
問題の所在(論点)
土地区画整理の施行区域内にある農地について、自作農創設特別措置法5条4号(または5号)の買収除外事由である「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当するか。また、原審で主張しなかった事実を上告理由とできるか。
規範
自作農創設特別措置法5条4号および5号の規定に関し、買収除外事由となる「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当するか否かは、個別の土地の具体的状況や利用目的の変更の確実性等を総合的に考慮して判断されるべきである。また、上告審においては、下級審において主張しなかった新たな事実関係に基づいて原判決の違法を主張することは認められない。
重要事実
上告人の所有する土地が、自作農創設特別措置法に基づき政府によって買収処分を受けた。当該土地は都市計画法に基づく土地区画整理を施行する境域内にあった。上告人は、本件土地が「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当し、同法5条の規定により買収から除外されるべきであると主張して、買収処分の違法を訴えた。
事件番号: 昭和25(オ)236 / 裁判年月日: 昭和29年7月19日 / 結論: 棄却
一 農地買収計画に対する異議決定に関与した村農地委員が、県農地委員会の委員して、右計画に対する訴願裁決に関与することは違法ではない。 二 行政事件訴訟特例法第一一条によつて農地買収計画に関する訴願裁決の取消を求める請求を棄却するについて、単に一般的に農地買収は公共の福祉のためになされる旨を判示し、具体的に当該事件につい…
あてはめ
上告人は、本件土地が土地区画整理の施行区域内にあることを理由に、同法5条4号の買収除外事由に該当すると主張する。しかし、上告人は原審において当該事実を同条5号の事由として主張しており、4号該当性は主張していなかった。これは原審で主張しなかった事実に当たり、上告理由として不適法である。また、本件土地が「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当しないとした原審の判断は、確定された事実関係に照らして是認でき、認定過程に違法はない。
結論
本件土地の買収処分は適法である。上告人が主張する事由は、原審で主張されなかった事実に基づくものであるか、または原審の正当な事実認定を争うものであり、採用できない。
実務上の射程
行政処分の違法を争う際、法令の適用除外要件(本件では買収除外事由)の該当性は事実認定の問題に帰する。本判決は、土地区画整理区域内という形式的事実のみで直ちに転用目的の相当性が認められるわけではないことを示唆する。また、訴訟法的には、上告審における新主張の禁止(民事訴訟法上の原則)を改めて確認するものである。
事件番号: 昭和27(オ)67 / 裁判年月日: 昭和28年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件農地が自作農創設特別措置法5条6号および同法施行令7条2号に規定する買収除外事由に該当するか否かが争われたが、最高裁は原審の事実認定を維持し、当該農地が同規定の対象に当たらないと判断した。 第1 事案の概要:上告人は、対象となった農地が自作農創設特別措置法5条6号および同法施行令7条2号に該当…
事件番号: 昭和35(オ)210 / 裁判年月日: 昭和36年1月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国が自作農創設特別措置法に基づき農地を買収し売渡した事実がある以上、その買収売渡手続の動機が何であっても、当該農地には農地法15条の規定が適用される。 第1 事案の概要:国が昭和22年10月2日、旧自作農創設特別措置法に基づき、訴外Dから本件農地を買収し、これを上告人(買受人)に対して売渡した。こ…