判旨
行政代執行の執行停止申請を却下した決定に対しては、民事訴訟法の規定に基づき通常抗告を行うことができるため、最高裁判所に対する特別抗告を提起することはできない。
問題の所在(論点)
行政代執行の執行停止申請を却下した地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所に特別抗告(旧民事訴訟法419条の2)を提起することができるか。不服申立手段の有無が問題となる。
規範
不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、憲法違反等を理由とする場合に限り、最高裁判所に特に抗告(特別抗告)をすることができる。しかし、民事訴訟法上の通常抗告が認められる裁判に対しては、この特別抗告の規定を適用して直接最高裁判所へ抗告することはできない。
重要事実
抗告人らは、長崎地方裁判所が行政代執行の執行停止申立事件について下した却下決定に対し、最高裁判所へ特別抗告状を提出した。抗告の理由は、憲法違反を主張する点を含んでいたが、実質的には道路法及び行政事件訴訟特例法の解釈適用を非難するものであった。
あてはめ
行政事件訴訟特例法10条に基づく執行停止申請の却下決定に対しては、民事訴訟法410条(現行民事訴訟法328条1項参照)の規定により通常抗告をすることが可能である。このように別途不服申立の手段が用意されている場合には、不服を申し立てることができない裁判を対象とする旧民事訴訟法419条の2(現行同法336条)による特別抗告を提起することはできないと解される。
結論
本件特別抗告は不適法であり、却下される。
実務上の射程
行政事件訴訟における執行停止等の決定に対しては、原則として即時抗告(通常抗告の一種)が認められるため、下級審の判断に憲法違反があるとする場合でも、まずは高等裁判所への抗告を経るべきであるという手続選択の順序を示すものである。
事件番号: 昭和39(し)68 / 裁判年月日: 昭和40年2月9日 / 結論: 棄却
簡易裁判所がした、裁判の執行の異議申立を却下する決定に対し、特別抗告の申立があつても、右決定に対しては刑訴法第五〇四条により即時抗告をすることができるのであるから、直接最高裁判所に対しなされた右特別抗告は、刑訴法第四三三条第一項の要件を具えない不適法なものである。
事件番号: 昭和24(ク)11 / 裁判年月日: 昭和24年3月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に定めた場合、すなわち原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限り許容される。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対して本件抗告を申し立てた。しかし、提出された抗告申立書及び抗告理由書の内容を検討したところ、原決定に憲法判断の不当があることを理由とす…
事件番号: 昭和34(ク)34 / 裁判年月日: 昭和34年3月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定される。民事事件においては、特別抗告(旧民事訴訟法419条の2、現行336条)の事由がある場合に限り、最高裁判所への抗告が適法となる。 第1 事案の概要:抗告人が原決定(詳細は判決文からは不明)に不服を申し立て、最高…
事件番号: 昭和24(ク)3 / 裁判年月日: 昭和24年2月11日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法上特に許容されている場合を除き、申し立てることができない。法律の根拠を欠く最高裁判所への抗告は不適法であり、却下されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、訴訟法上の具体的な根拠規定に基づかずに、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。なお、具体的にどのような原決定…
事件番号: 昭和24(ク)10 / 裁判年月日: 昭和24年3月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合を除いてはすることができず、憲法判断の不当を理由としないものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案。抗告申立書の内容を精査したところ、原決定における憲法上の判断が不当であること…