判旨
旧民事訴訟法138条(現行158条)に基づく準備書面の陳述擬制は、最初になすべき口頭弁論期日に限定される。それ以降の期日に提出された準備書面については、同条を適用して陳述したものとみなすことはできず、当該書面に基づく証拠申出の援用も認められない。
問題の所在(論点)
最初になすべき口頭弁論期日より後に提出された準備書面について、民事訴訟法158条(旧138条)を適用して陳述したものとみなすことができるか。また、それに伴う証拠申出の援用が可能か。
規範
民事訴訟法158条(旧138条)による陳述擬制の規定は、被告等が「最初になすべき口頭弁論期日」に出頭しない場合に限って適用される。この要件を欠く場合、提出された準備書面の内容が当然に口頭弁論の内容となる(陳述したとみなされる)ことはない。
重要事実
上告人は、訴訟手続において準備書面を提出したが、これは最初になすべき口頭弁論期日の後に提出されたものであった。上告人は、当該書面の陳述擬制が認められないこと、および当該書面に記載された事実を立証するための証拠申出の援用が認められないことは、防御権を無視した違憲なものであると主張して上告した。
あてはめ
本件における準備書面は、法が定める「最初になすべき口頭弁論期日」を経過した後に提出されたものである。したがって、同条の要件を充足しないため、これを陳述したものとみなす法的根拠はない。陳述擬制が認められない以上、その書面に依拠した証拠申出についても、有効な訴訟行為として援用する余地はないといえる。
結論
最初になすべき口頭弁論期日より後に提出された準備書面は、陳述したものとみなすことはできず、証拠申出の援用も認められない。
実務上の射程
陳述擬制(158条)の適用範囲が最初の期日に限定されることを明示したものである。実務上、続行期日において欠席する場合には、事前の準備書面提出のみでは陳述したものとみなされず、そのまま判決(欠席判決等)に至るリスクがあることを示唆する。答案上は、口頭弁論原則の例外としての擬制の厳格な適用範囲を論ずる際に用いる。
事件番号: 昭和35(オ)119 / 裁判年月日: 昭和37年2月2日 / 結論: 棄却
口頭弁論の方式に関する事項は、調書の記載のみによつて証明できるから、証人尋問中、当事者本人の退廷を命じたことの違法をいう所論は、右調書にその旨の記載がない以上採用できない。